国土交通省の調査※1によれば、リモートワーク経験者の8割以上が新型コロナウイルス感染症終息後も継続意向を示している。一方、ロイターの調査※2によれば、コロナ禍でリモートワークを実施している企業の約8割は感染終息後も継続を考えている。大手企業に絞った調査ではリモートワーク継続意向9割という調査結果もある※3。このように、大枠では企業・労働者ともにリモートワーク制度の継続という方向で思惑が一致しているように見える。
ただし、その具体的な中身を見ると、企業と労働者の意向の違いが浮き彫りになる。先述の国土交通省の調査によれば労働者が希望するリモートワークの頻度は週2回という回答が最も多く、週1回以上の割合は9割を超える。同調査の2020年実績ではリモートワーク実施者のうち週1回以上実施している人の割合は75%程度なので、労働者はコロナ禍の今よりもさらにリモートワークの頻度を増やした働き方を志向していることがわかる。
一方、ロイターの調査によればリモートワーク制度の継続を考える企業のうち6割近くは「規模を縮小して継続」としている。ここでの「規模」が対象者数なのか頻度なのかは不明であるが、いずれにせよリモートワークを今以上に積極的に推し進めたい労働者側と企業側の意向には乖離が見られる。