自動車などの移動手段を使いたい時だけ利用するモビリティサービス(Mobility as a Service: MaaS)が存在感を強めている。通信網との接続、自動運転、シェアリング、電動化という、100年に一度とされる大変革が背景にある。MaaSの草分けといわれるフィンランドでは2016年、スマートフォンのアプリを使って、交通機関を料金支払いの手間を気にせずスムーズに乗り継げるサービスが始まった。物流拠点としての地位強化を狙うシンガポール政府は、港湾荷役からトラック輸送まで自動化するシステムの開発を主導。中国も官民共同で、MaaSを前提とする新都市計画を立ち上げた。
2050年、世界のGDPが現在の約3~4倍になるとの予測※1がある。これに伴いMaaSが広く普及した場合の市場規模は、約900兆円に達する(当社試算)。現在の自動車関連全体の1.4倍に当たる巨大市場が、ゼロから創出される可能性がある(図)。
急成長を後押しするのは新興国や途上国である。自動車の個人所有が進んでいないこうした国々ではライドシェア(相乗り)への抵抗感が少なく、政府もMaaS導入策を講じやすい。シェアされた自動運転の電気自動車が、ほかの交通機関と連携して旅客や貨物を円滑に運ぶ姿がイメージされる。地球規模の課題であるCO2排出抑制や、交通事故・渋滞といった社会問題の解決にもつながる。
日本企業からも、巨大市場に挑戦する動きが出始めている。トヨタ自動車とソフトバンクグループは10月、MaaS新会社の設立を発表した。トヨタは2018年初頭に「車を作る会社」から「モビリティサービス企業」を目指すと表明、今回は自動車関連の海外出資も積極化しているソフトバンクとの提携に踏み切った。
MaaS展開には自動車や旅客・物流、ITサービスに加え、鉄道・海空運、電力インフラ、都市計画との連動も必要となる。自動車メーカーとIT企業にとどまらない多業種連動を通じて、日本企業が新興国や途上国にも適用できるMaaSの設計図づくりに挑戦し、世界標準を勝ち取るよう期待したい。
2050年、世界のGDPが現在の約3~4倍になるとの予測※1がある。これに伴いMaaSが広く普及した場合の市場規模は、約900兆円に達する(当社試算)。現在の自動車関連全体の1.4倍に当たる巨大市場が、ゼロから創出される可能性がある(図)。
急成長を後押しするのは新興国や途上国である。自動車の個人所有が進んでいないこうした国々ではライドシェア(相乗り)への抵抗感が少なく、政府もMaaS導入策を講じやすい。シェアされた自動運転の電気自動車が、ほかの交通機関と連携して旅客や貨物を円滑に運ぶ姿がイメージされる。地球規模の課題であるCO2排出抑制や、交通事故・渋滞といった社会問題の解決にもつながる。
日本企業からも、巨大市場に挑戦する動きが出始めている。トヨタ自動車とソフトバンクグループは10月、MaaS新会社の設立を発表した。トヨタは2018年初頭に「車を作る会社」から「モビリティサービス企業」を目指すと表明、今回は自動車関連の海外出資も積極化しているソフトバンクとの提携に踏み切った。
MaaS展開には自動車や旅客・物流、ITサービスに加え、鉄道・海空運、電力インフラ、都市計画との連動も必要となる。自動車メーカーとIT企業にとどまらない多業種連動を通じて、日本企業が新興国や途上国にも適用できるMaaSの設計図づくりに挑戦し、世界標準を勝ち取るよう期待したい。
※1:PwCが2015年、OECDが2018年に、それぞれ予測。