マンスリーレビュー

2023年10月号トピックス1経済・社会・技術

パートナーシップでリアルな地域課題解決を

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2023.10.1

事業基盤部門武藤 誠

経済・社会・技術

POINT

  • 「地域課題」はマクロ・ミクロ双方の難しさを包含している。
  • 当社はマクロ方面からのアプローチにこれまで多く取り組んできた。
  • 地域のパートナーとの連携により、マクロ・ミクロ双方からの解決へ。

地域課題解決に必要な抽象性とリアリティ

地域には、その土地特有の課題がある。当社は社会課題解決に取り組む中で、各地域で多くの示唆を得ている。筆者は名古屋を中心とする中部地域を主軸に活動しているが、「社会に広く共通し」「一定程度抽象化された」マクロな社会課題とは異なる、地域に根差すミクロな「地域課題解決」の意義を実感している。

ここでの「地域課題」の定義は、個人や個社が抱えるリアルな課題と社会課題の間にあって、双方の性質を併せもつものとしたい。その地域課題の解決には地域内で広く共感を得るための「抽象化」と、地域内の「リアリティ」への落とし込みの双方が必要である。

地域課題の根底には人口減少や人口構成の変化といった社会に共通する喫緊の課題がある。それが固有の事情によって、労働力不足であったり、経済の縮小であったり、税収の減少に見舞われるといったさまざまなかたちで顕在化し、地域社会で暮らす人々の生活を脅かしている。

中部地域を例に取ると、自動車をはじめとする日本を支える基盤産業が集積しており、都市やその近郊部では人口減少や財源確保の必要性が相対的に小さい。ただし製造業の強さに比べると、デジタル産業は成長基盤の強化を図る段階にあり、観光資源の強化・育成も求められている。さらに郊外部では、国内の多くの地域と同様に、人口流出、地域経済の縮小といった問題も抱えている。

まちづくりから地域通貨まで

当社は地域の課題解決に向けて、「まちづくりの支援」や「デジタル地域通貨の社会実装」をはじめさまざまなテーマに取り組んでいる。

前者について当社は、地域の置かれた状況に加えて、強みと課題などを十分に踏まえた上で、最適と考えられるプラン、場合によっては前例のないプランなども提言し、実現可能性を踏まえた構想づくりや計画づくりに取り組んできた。

後者については、当社が提供するデジタル地域通貨プラットフォームである「Region Ring®※1」をさまざまな地域で展開してきた。中部では名古屋市の産業振興策として2022年度から地元の電子商品券として実装している※2。同事業は地域に強みをもつパートナー各社とともに、地域経済の活性化や域内のデジタル化、それに加えてキャッシュレス推進に貢献している。

さらなる取り組みにはパートナー連携が必要に

冒頭で述べたとおり、地域課題にはマクロとミクロ双方の難しさが混在している。当社が今後一段と地域課題に取り組んでいくには、地域のリアルな課題に強みをもつパートナーと連携したアプローチがさらに必要になってくると考える。

具体的には地域金融機関や地域に根差したシンクタンク、また地元の企業や大学といった方々とのさらなる連携を念頭に置いている。リアルな地域課題の解決に一段と取り組むにあたり、地域のパートナーとともに進んでいきたい。