現在も、余暇・レクリエーション分野で、時空間を有効活用するためのサービスは存在します。
例えば、旅行を取り上げると、「時間」という点では最短となる移動時間や経路を調べるための路線検索アプリやナビゲーションアプリ、「空間」という点ではホテルやレストラン、テーマパークの事前予約アプリ、それらの感想・評価を共有するアプリといったサービスがあります。近年では、複数の交通機関やアクティビティをまとめて検索・予約し、チケットの決済まで1つのアプリで行えるといった、利便性の高いサービスも普及してきています。
ただしこれらのサービスは、「××に旅行したい」という、そもそもの需要が明確になってから、さらに言えば「××に行って、〇〇したい」といった具体的な目的や行いたいアクティビティが明確になってからが主な利用シーンとなります。
消費行動における心理プロセスを示すものとして、「AISASの法則」があります。これは、Attention(認知)→Interest(関心)→Search(検索)→Action(行動)→Share(共有)の各プロセスの頭文字を取ったものです。前述の路線検索や事前予約、感想・評価といったサービスは、主に後半の「Search→Action→Share」のプロセスを効率化するものとなっています。
今後は「Attention→Interest」のプロセス、つまり「××に旅行したい」という需要が明確になっていない段階から、「××に旅行すれば〇〇ができる」と知らせ、「××に旅行して、〇〇したい」という関心を呼び起こすサービスが必要になります。
図1 「AISASの法則」と照らし合わせた、時空間を有効活用するサービスの活用シーン
出所:三菱総合研究所