ニュースリリース

デジタル地域通貨「地域コイン」の社会実験を実施

3地域で商品券事業への適用可能性とその効果を検証
2019.4.23

三菱総合研究所

株式会社三菱総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:森崎孝)は、総務省からの請負事業「行政や公共性の高い分野におけるブロックチェーン技術の活用及び社会実装に向けた調査研究」の一環として、大阪市上本町、浜松市、福山市の3地域で同時に社会実験を行い、デジタル地域通貨(通称「地域コイン」)による地域商品券事業への適用可能性とその効果を検証しました。

1. 背景・経緯

地域の実体経済を考慮した景気対策として、地域振興券やプレミアム付商品券など個人消費喚起型の事業があります。利用期間と場所が限定されていることから、域内の経済活性化が期待される一方、一時的な経済対策は消費の前倒しや日常の買い物の代替にとどまり、効果は限定的との評価もあります。また、商品券の流通に伴う偽造や不正利用のほか、発行・運用にかかるコスト負担が課題となっています。

2. 社会実験概要

本実験の目的は、デジタル地域通貨プラットフォームの地域商品券事業への適用可能性とその効果の検証です。地域コイン発行者は、QRコードと端末を使って商品券に代わる地域コインを発行。その地域コインによる商品・サービスの購入から精算までの一連の流れをブロックチェーン技術で管理し、デジタル化や減価(利用がないとコインの一部を消滅させる機能)による効果を確認しました。また、商品券事業のデジタル化による事務コスト削減効果も算出しました。実験終了後には、参加者へのアンケート調査を行い、地域コインに対するニーズや課題について分析しました。

3. 社会実験の結果

本実験で以下のことが明らかになりました。

  1. 減価は消費を促進する効果があり、減価しないグループに比べて3割程度消費を押し上げる。
  2. 政令指定都市規模の自治体では、事務コストを半分程度に低減できる可能性がある(注1)。
  3. 域内のどこでも使えるようになった場合、参加者の6割以上が「普段の買い物の50%以上を地域コインに置き換える」と回答。

4. 今後について

本実験を通じて得られた成果を踏まえて、地域商品券事業への地域コインの適用検討をさらに進めるとともに、転々流通(注2)による持続的な地域経済モデルの展望について検討していきます。

注1コスト構造は自治体の規模や事業内容によって異なる可能性があり、その場合、削減効果も変化する。また、デジタル化に伴うシステム費用は考慮していない。

注2複数回流通。金銭的価値が発行主体に還流せず、市中を現金のように転々と流通する性質。

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