MRIマンスリーレビュー

三菱総合研究所が毎月、時流に即した社会的課題やトピックスを考察、
所見や目指すべき未来を発信しています。

最新のマンスリーレビュー

もとの水にあらず

代表取締役社長 森崎 孝
当社は、1970年に三菱創業100周年記念事業として設立された。当時は、東海道新幹線の開通、東名・名阪などの道路網の拡充、そして東京オリンピック・パラリンピック(1964年)、大阪万博(1970年)が開催され、日本中に高揚感が漂い、未来社会への大いなる期待が高まる一方、公害、交通渋滞など、高度成長に伴う影の部分が顕在化し始めた時期であった。

それから50年の節目が、2020年にやってくる。

この半世紀、世界情勢は大きく変化した。グローバル化が進展、中国の台頭も相まって世界経済は急成長を遂げた一方で、国連が打ち出したSDGs(持続可能な開発目標)に代表されるように、地球規模で解決すべき数多くの社会課題が生み出された。AI・ロボットと人間の共存や生命科学技術の実用化など、先端技術に対する期待と不安も交錯している。このような中、2020年に東京オリンピック・パラリンピック、2025年には大阪・関西万博が日本で開催される。

この繰り返しはデジャビュ(既視感)のようにも見える。しかし、方丈記(鴨長明著)よろしく、「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」。世界中の人々が物の豊かさだけではなく、心の豊かさをいっそう求め始めた現在、課題先進国である日本への期待は、一段と高まっている。

当社は、2020年に創業50周年を迎えるにあたり、次の50年を俯瞰的に展望する研究に着手した。“100億人・100歳時代”に向けて豊かで持続可能な社会を実現することを目標に、産官学のオープンな議論のもと、「ありたい未来社会の姿」を構想、必要な実現方策を提言、実行につなげていく。

新たな水の流れに目を凝らし、社会課題を一つひとつ解決することを通じ、人間の人間による人間のための「ありたい未来社会」の共創に向け、その先導役を担っていく所存である。
もっと見る
閉じる

バックナンバー