MRIマンスリーレビュー

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巻頭言|VUCA時代の危機対応

代表取締役社長 森崎 孝
VUCAの時代が続いている。2020年が始まって3カ月の間に、中東における地政学リスクに続き、新型コロナウイルスによるパンデミックリスクが顕在化し、先行き不透明な状況下で、世界中が危機対応に追われている。

リスクと言えば、発生確率は低いが、ひとたび発生すると影響が極めて大きいBlack Swanリスクが注目されがちだ。しかし近年は、発生確率が高くて影響も大きいにもかかわらず軽視されがちなGrey Rhino(灰色のサイ)リスクや、地球温暖化を受けた気候変動に伴うGreen Swanリスクも指摘されている。VUCAの時代ならずとも想定外のリスク根絶は困難であるが、VUCAの時代だからこそ、平時から危機対応能力を高めておくことが求められる。

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日本では矢継ぎ早に各種対策がとられ、感染拡大を一定程度抑え込んでいると考えられるが、予断を許さない。今後は、感染拡大に加え、消費者マインドの悪化や、企業の資金繰り悪化による雇用・所得面への影響も懸念される。海外の感染急拡大による輸出減やサプライチェーン寸断による供給制約、インバウンド需要減などが日本経済に与える影響も大きい。世界的株安・原油安に端を発した金融市場の混乱が、世界的金融危機に発展する可能性も否めない。

新型コロナウイルスが世界中に甚大な影響を与えることは間違いない。日々報道される感染拡大の状況や有効な治療薬・ワクチンの開発期間などを考慮すると、長期戦を覚悟せねばなるまい。今こそ感染症対策、経済対策の両面において、世界各国が自国優先主義を排し、国際協調のもと、人類の英知を結集し、あらゆる手法を駆使することにより、未曽有の危機に立ち向かうことが不可欠だ。全世界がOne Teamとなり、今回の危機を乗り切ることができれば、よきレガシーになるであろう。災い転じて福となす。これからの世界各国の協調した対応が、VUCAの時代を共に生き抜いていくための好事例となることを期待する。
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