マンスリーレビュー

2021年9月号

MRIマンスリーレビュー2021年9月号

多様な行動機会と新たな需要創造

常務執行役員 岩瀬 広
オリンピックに続きパラリンピックが開幕した。コロナ禍での開催に賛否両論があったが、アスリートの活躍には多くの人が心を動かされた。一部会場では児童生徒の観戦が実現し、その活躍にじかに接する機会を得た。その姿はテレビ観戦の何倍も深く心に刻まれるだろう。さまざまな体験を重ねることは人生を豊かにする。

しかし、加齢に伴う身体能力の衰えは行動機会の制約にもなる。7月末の厚労省の発表によると、現在75歳の日本人の平均余命は男性12.6年、女性16.2年となった。身も心も健康な生活を保つためには、高齢者にも多様な行動機会が担保されるべきだ。

高齢者に限らずとも、コロナ禍により従来の毎朝通勤通学する生活は激変した。当社は、テレワークなどの浸透が首都圏・関西圏の就業者一人当たりで週に約1.3時間の自由時間を創出すると試算した。この時間が幅広い層に多様な行動を生み出すことも期待できる。

今回のオリパラでは実現しなかったが、5G時代には観客のスマホなどに選手のアップ画像や豊富な関連情報が提供され、より深い体験ができるようになる。デジタル技術の急速な進展と相まって、人々はより価値の高い多様な行動機会を求め、それによって身と心の満足度を高めていく。地域や企業はこれらの需要を創造し、人々がそれを容易に満たせる社会を目指すべきだ。

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