マンスリーレビュー

2022年1月号

MRIマンスリーレビュー2022年1月号

2022年の内外経済展望

理事長 小宮山 宏
知識の量は増大を続け、そのスピードにはめまいを覚えるほどだ。しかし、ひとりの人間がよく分かっているといえる領域は驚くほど狭い。

新型コロナウイルス感染症の発生から間もない2020年初頭、ワクチンはいつごろできるかと専門家の友人たちに尋ねた。答えの平均値は3~4年だったが、実際には10カ月で市場に出た。

彼らが特に不勉強だったわけではない。世界で無数の挑戦が行われる中で、メッセンジャーRNAワクチンの威力を確信し、大量生産技術と組み合わせたファイザーやモデルナが短期製造に成功したということだ。

すでに発生から2年が経過した。専門家も予測したように、もう1~2年すると他のワクチンも市場に出てくるのだろう。アフリカなどにも行き渡り、新たな治療薬やさらにはジェネリック薬も出現して終息に向かうといったシナリオも期待できる。

専門家ですらも知らない知識の方がはるかに多いというのが現在の知の状況だ。殻にこもった現状延長的な姿勢を打破するオープンイノベーションやバックキャスティングが有効である理由もここにある。

逆に、今ある知識の中から正しい知識を探し出し、それを正しく適用すればほとんどの課題は解決できる。それが希望なのである。
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