マンスリーレビュー

2023年4月号

MRIマンスリーレビュー2023年4月号

レジリエンス2023 防災新時代

執行役員 羽生 哲也
春は桜の季節、本誌がお手元に届くころには多くの方が花見を楽しまれた後ではないだろうか。

東京の桜の開花日は過去50年で1週間ほど早まっている。急速な都市化や気候変動の影響によるものであろう。温暖化が進めば、ますます桜の開花が早まるばかりか、開花に必要な温度変化が得られず桜の咲かない地域も出てくるとの予想すらある。

気候変動により激甚化する近年の豪雨災害リスクは、私たちの目に見える脅威となっている。激甚災害に直面した際、都市や社会がいかに回復力を蓄えているか、被災者を支援できるかが重要となる。

世界経済フォーラムが発表した「グローバルリスク報告書2023年版」によれば、日本が直面するリスクの上位は「地経学上の対立」「自然災害と異常気象」「長引く経済不況」と続く。不確実な環境変化に対処するためには、レジリエンス(強靱性)を備え、想定外のリスクや災害にも対応できるようにする必要がある。

最近は、「ブラックエレファント」という用語も使われている。いつか発生しうる見逃しようのない甚大リスクであるにもかかわらず、見て見ぬふりをしている事象とのことである。リスクを正しく捉え、賢くしなやかさを備え、より強靱で持続可能な社会への一歩を踏み出したい。
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