マンスリーレビュー

2023年5月号

MRIマンスリーレビュー2023年5月号

行動機会を創出するビジネス

専務執行役員 岩瀬 広
新緑の眩しさは活力を与えてくれる。特に今年は新型コロナウイルス感染症の扱いが季節性インフルエンザと同等となって行動制限が緩和され、夏場にかけ人々の動きが活発化する。ゴールデンウイークの休みが例年より長めなことも旅行熱を後押ししている。

外国人は先んじて動いた。3月の訪日外国人観光客数(日本政府観光局推計値)は前月比23%増となった。ベトナムや米国、豪州などからの訪日客はすでにコロナ禍前の水準を回復した。中国が日本向け団体旅行を解禁すればコロナ禍の影響から脱する。訪日客は早くも、新たな名所を発掘して押し寄せているという。

人間の行動を代替・補完するVRやSNSによって、疑似体験はかなり身近になった。しかし、手軽になった分、実際にその場を訪れて価値を体感したいとの欲求も大きくなった。例えば、古都の空気の中でこそ、抹茶の味や香りは格別なものとなる。サイトで見た名所の写真と、現地を訪れて五感で雰囲気に触れながら撮った写真とは、まったくの別物である。

約3年間の制限を経て、こうした当たり前のことを再認識した人々は「実際に体験したい」という好奇心を、さらにかき立てられた。リアル価値の充足によってウェルビーイングが高まることに期待したい。
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