マンスリーレビュー

2022年6月号

MRIマンスリーレビュー2022年6月号

actfulness 行動起点の価値創造

執行役員 仲伏 達也
日本は約30年間、GDPも賃金も増えない、世界でもまれな国となっている。人口減少下にある昨今、30年続く低成長から脱するには、生産性向上以外に選択肢はない。生産性は、付加価値(分子)を人数、労働時間、コストなど(分母)で割ったものであり、持続的成長への転換に必要なのは「分子を大きくする」または「分母を小さくする」、あるいは両方への対応である。

日本企業も、ICT活用やDX投資によって生産性向上に努めてきたが、多くは低コスト化や効率化など、分母の削減を目的とするものであった。新たに生み出されるサービスも、既存サービスの低価格化、利便性向上、代替を目的とする比較的リスクの小さいものが多く、個社の生産性は向上しても、経済全体のパイ(分子)拡大にはつながっていない。

当社が提唱する「actfulness」は、心が豊かになり、ワクワクする活動、SDGs行動などを促すことで、ウェルビーイング向上と地域課題解決を目指すものである。これにより個人の追加的な消費が生まれ、周囲の他者の活動も誘発される。

企業にとっては、分子、すなわち市場規模を大きくするサービスへの投資機会が新たに生まれる。それがさらに、個人のワクワクする活動を促し、相乗効果となって地域の持続的な経済成長に大きく貢献する。行動起点で価値創造を促すactfulness。これからの動きに期待していただきたい。
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