マンスリーレビュー

2023年10月号

MRIマンスリーレビュー2023年10月号

デジタルコミュニケーションの未来

執行役員(兼)研究理事 伊藤 一道
近年のデジタル技術の進展に伴い、社会は驚くほどの変化を遂げてきた。この流れをさらに大きく飛躍させる役割の一部を担うのが、リアル・デジタル連携に着目した「コミュニケーションテクノロジー」である。

コミュニケーションといえば、これまでは人と人との間に介在するものが対象であった。だが、生成AIの出現で具体化されたように、人と機械とのコミュニケーションも現実的なものとなり、知らず知らずのうちにさまざまな場面でそのようなコミュニケーションが社会の中に浸透し始めている。

ただし技術革新は生活をより便利にし、良い方向に導く半面、これまでの社会システムを予想もしない方向に変化・変質させ、望ましくない行動や人間疎外などの問題を生じさせうる。

コミュニケーションテクノロジーの負の側面を緩和する方策の一つに、身ぶり手ぶりや表情などの「非言語情報」のデジタル化がある。近年の技術革新により、しぐさのような極めて人間的な行為すらも、厳密に再現、あるいはより豊かに表現できるようになる。

われわれはこのように技術には正負の両面があることをしっかりと認識せねばならない。その上で人と人、人と機械のコミュニケーションの高度化技術を活用し、AIとリアル・バーチャルの時代にふさわしい、より良い社会システムの構築を行っていくべきである。
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