マンスリーレビュー

2024年2月号

MRIマンスリーレビュー2024年2月号

デジタルで切り拓く未来社会への希望

理事長 小宮山 宏
「21世紀後半に実現すべき社会」と未来社会を定義してみよう。それは物質的には、再生可能エネルギーと都市鉱山とバイオマスの成長分を資源とする完全循環系、社会構造としては、全ての人の自己実現を可能にする自律分散協調系、実現のための鍵は、最適な知を最適に動員する知の構造化にあると、私は考えている。それは、長年主張してきたビジョン2050(「地球持続の技術」)、「『課題先進国』日本」「新ビジョン2050」などからの結論である。

こうした視点から現実を眺めると、世界はおおむね完全循環系に向かっているように見える。自律分散協調系は、人類史的にも最近も事例に事欠かない。最適な知を最適に動員するのは、言うは易く行うは難しだが、生成AIが強力な手段として登場した。希望はある。

この未来社会が実現すると、日本は資源自給国家となり、都市と地域が協創する国になることができる。草の根の理解は徐々に醸成されつつあり、科学技術の蓄積も進んだ。いったん動き始めれば一気に実現に向かうだろう。それが希望だ。

その先にあるのは、地球が持続し、豊かで、全ての人の自己実現を可能にするプラチナ社会だ。ウクライナやガザをはじめ心が折れそうなニュースが多いけれど、人類はぎりぎりのところでは正しい選択をしてきたし、今後もするだろう。希望はあるのだ。
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