マンスリーレビュー

2023年12月号

MRIマンスリーレビュー2023年12月号

「生成AI×DX」業務改革のアクセル

執行役員(兼)研究理事 比屋根 一雄
生成AIのかつてない爆発的な普及には驚かされた。当社の調査によると、ChatGPTの登場からわずか半年後の2023年6月には、大企業の1割で生成AIを導入済み、4割が計画中であった。10月の簡易調査では、導入済み4割、計画中3割まで拡大している。

情報収集や要約に加え、議事録やレポートなど社内文書の作成にも利用が広がっている。今後は「営業資料やホームページなどの対外文書の作成」や「問い合わせ対応」「プログラミング」にも使いたい意向も強い。

しかし一方で「思ったほど使えない」「一部の社員しか使ってくれない」という声も聞く。原因は2つある。一つは、スキル不足である。対話型の生成AIを使いこなすには、的確な質問力と指示力、評価力が不可欠である。あいまいな指示を受容する精神風土は、生成AIの能力を十分発揮させていないように見える。

もう一つは、企業の組織知を活用できていないこと。生成AIは公開文書しか学んでいない。社内文書データベースと連携させ、自社の組織知を仕事に活かしたい。

生成AIは働き方を変える。人間が雑務から解放され創造性を追求することへの期待は大きい。新たなスキル習得のハードルも下がり、一人で複数の職務を担える可能性も開かれる。一方でAIから学び、その先を行く「達人」も現れよう。AIと共存する未来が始まっている。
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