マンスリーレビュー

2022年8月号

MRIマンスリーレビュー2022年8月号

2050カーボンニュートラルが導く未来

専務執行役員 岩瀬 広
2022年の夏は節電の夏である。記録的な暑さが続いた6月下旬、東京電力管内において「電力需給ひっ迫注意報」が発令された。他エリアからの電力融通に加え、企業などの大口需要家や一般家庭の協力が需要量を押し下げたことが奏功し、一段と強い警報の発令や計画停電の実施には至らなかった。政府調査によると9割の事業者が何らかの節電行動をしたという。

この8月も正念場となる。さらに、夏よりも冬場の方が電力事情は悪化するという見方もある。現在、さまざまな事業者が電力供給サービスを展開しており、中には節電協力に対するインセンティブを提供する企業もある。その一つであるエナリス社によると、今回、同社の提供する節電協力割引に応じた業務用の需要家は約10%の節電を実施したそうだ。

意識と行動の変容は脱炭素社会の形成には欠くべからざるものだ。中長期的な視座に立てば日本はカーボンニュートラルの実践を求められる。そこでは再エネ由来の電力への転換や事業所で使う化石燃料からの転換、さらには脱炭素技術の導入などにも取り組まねばならない。企業も家庭も脱炭素に向けたあらゆる方策に転じる必要があり、持続可能な社会の形成を目指す恒久的な手段となるべきである。

本号では、今後の脱炭素化への鍵となる行動変容を加速させるための方策を紹介したい。
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