現在、世界のエネルギー市場は過去に類を見ないほど混乱している。
2021年半ばの時点で、コロナ禍からの経済回復や、脱炭素潮流に伴う資源開発などの上流投資の停滞などを背景に、化石燃料の価格は記録的に高騰していた。これに、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻が拍車をかけた。WTI原油価格は2022年3月に2008年以来の高値となるバレルあたり130ドル台を記録し、天然ガス・石炭は過去最高値を更新し続けている。
エネルギー価格の高騰は物価全般に影響を与えており、2021年3月以降、消費者物価上昇率に占めるエネルギー価格の寄与は日米欧平均で約4割を占めるまでになっている。
ウクライナ侵攻は「エネルギー安全保障」という昔からの命題の重要性を改めて認識させることになった。例えばドイツはロシアへのエネルギー依存を下げるため液化天然ガス(LNG)も含めた調達の多角化、天然ガス・石炭の国家備蓄などの検討を進めている。英国では国産エネルギーとしての北海油田の位置づけが再認識されている。
しかしながら、安全保障意識の高まりは、化石燃料への単純な回帰を意味しているわけではない。欧州委員会が2022年3月に発表した、ロシア産化石燃料依存からの脱却計画「REPowerEU」は、再生可能エネルギー(再エネ)への転換などが、欧州域内のエネルギー自給率を高めると位置づけている。
ウクライナ侵攻により脱炭素化の流れは、中長期的に、より強固となったと見るべきだろう。各国は脱炭素化と安全保障の両立を目指して、エネルギー戦略を練り直している。
2021年半ばの時点で、コロナ禍からの経済回復や、脱炭素潮流に伴う資源開発などの上流投資の停滞などを背景に、化石燃料の価格は記録的に高騰していた。これに、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻が拍車をかけた。WTI原油価格は2022年3月に2008年以来の高値となるバレルあたり130ドル台を記録し、天然ガス・石炭は過去最高値を更新し続けている。
エネルギー価格の高騰は物価全般に影響を与えており、2021年3月以降、消費者物価上昇率に占めるエネルギー価格の寄与は日米欧平均で約4割を占めるまでになっている。
ウクライナ侵攻は「エネルギー安全保障」という昔からの命題の重要性を改めて認識させることになった。例えばドイツはロシアへのエネルギー依存を下げるため液化天然ガス(LNG)も含めた調達の多角化、天然ガス・石炭の国家備蓄などの検討を進めている。英国では国産エネルギーとしての北海油田の位置づけが再認識されている。
しかしながら、安全保障意識の高まりは、化石燃料への単純な回帰を意味しているわけではない。欧州委員会が2022年3月に発表した、ロシア産化石燃料依存からの脱却計画「REPowerEU」は、再生可能エネルギー(再エネ)への転換などが、欧州域内のエネルギー自給率を高めると位置づけている。
ウクライナ侵攻により脱炭素化の流れは、中長期的に、より強固となったと見るべきだろう。各国は脱炭素化と安全保障の両立を目指して、エネルギー戦略を練り直している。