最近、ある大手企業の人事担当者の悩みを耳にした。「経営陣から言われてリスキリング施策を始めたものの、現場との認識ギャップが大きく、実効性のある取り組みになっていない」というのだ。この背景には、会社側がリスキリングの当事者たる従業員への配慮を欠き、巻き込みが不足している実情があろう。
「リスキリングは従業員の痛みを伴う」ことを経営層や人事部門が軽視してはいないだろうか。リスキリングは自己変革を強いる取り組みである。今までにないスキルを獲得する過程は、現在の保有スキルやこれまでのキャリアの一部ないし全てを否定するところから始まるからだ。その原動力は、内面から湧き起こる「ありたい姿を実現したい」との強い感情にほかならない。
一橋大学CFO教育研究センター長の伊藤邦雄氏は「人的資本の本質は能動(自働)的価値創造(伸縮)性にある」※1と述べている。人的資本すなわち人材には、自らその資本の大きさを増減させる能力をもつという、ユニークな特性がある。リスキリングの枠組みを設定して運用する際には、当事者の主体性や自律性への配慮が極めて重要だ。
「リスキリングは従業員の痛みを伴う」ことを経営層や人事部門が軽視してはいないだろうか。リスキリングは自己変革を強いる取り組みである。今までにないスキルを獲得する過程は、現在の保有スキルやこれまでのキャリアの一部ないし全てを否定するところから始まるからだ。その原動力は、内面から湧き起こる「ありたい姿を実現したい」との強い感情にほかならない。
一橋大学CFO教育研究センター長の伊藤邦雄氏は「人的資本の本質は能動(自働)的価値創造(伸縮)性にある」※1と述べている。人的資本すなわち人材には、自らその資本の大きさを増減させる能力をもつという、ユニークな特性がある。リスキリングの枠組みを設定して運用する際には、当事者の主体性や自律性への配慮が極めて重要だ。