ニュースリリース

コロナ収束後も6割超がオンライン診療に前向き

MRIとMEDIS-DCが一般市民を対象に健康や受診のアンケートを実施
2020.6.12

株式会社三菱総合研究所

POINT

株式会社三菱総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:森崎孝、以下 MRI)は、2020年4月30日、一般財団法人 医療情報システム開発センター(東京都新宿区、理事長:山本隆一、以下 MEDIS-DC)と共同で、「個人の健康管理や医療機関の受診に関する意識調査(Webアンケート)」を実施し、一般市民2,578名から回答を得ました。

1.背景・経緯

MEDIS-DCでは、MRI協力の下、これまで国民の健康管理や医療機関の受診状況、スマートフォンアプリを活用した健康管理・健康増進のニーズや利用状況の調査を行ってきました。コロナ禍における医療機関受診状況やオンライン診療に関する調査は、医療機関、または自医療機関の患者や自社医療関係サービス利用者などを対象としたものは多数ありますが、一般市民を対象とした数千名規模の調査はないことから、共同調査を実施しました。コロナ感染拡大による健康管理意識や医療機関への受診行動への変化を調査(4月30日実施)したところ、2,578名から回答を得ました。

2.主な調査結果

■感染拡大により通院を延期・中断した人は22.0%。理由は「コロナ感染が怖いから」62.0%
通院していた1,043名のうち、コロナ感染拡大により通院を延期または中断した人は22.0%、オンライン診療に変更した人は3.0%でした。通院を延期または中断した理由のうち、「コロナ感染が怖いから」が62.0%、「医療機関からの要請」が14.0%でした。また、感染すると重症化しやすいと言われている疾病(糖尿病、喘息など)を抱えている人の場合、「医療機関からの要請」で診療を延期または中断した人が25.9%でした(図表1-1、1-2参照)。

注)通院理由として、喘息、糖尿病、狭心症、心筋梗塞、その他の心臓病、脳卒中、肝臓病を選択した人を「重症化しやすいと言われている疾病を抱えている人」として集計した(以下、同様)。

■重症化しやすいと言われている疾病を抱えている人ほど、自分は対面での通院が必要との思い込みが強い
通院を続けている理由は「自身の疾病は通院して受診が必要」が48.4%で最も多く、次いで「医療機関がオンライン診療を行っていない」が27.6%でした。対面が必要と感じている割合は、重症化しやすいと言われている疾病を抱えている人が高い傾向にありました。一方、通院を続けている人のうち、オンライン診療にセキュリティ上の不安を感じている人は0.5%とわずかであったため、医療側から、処方期間を長くする、電話で処方するなどの方法を提示することで、通院を避けることができると考えられます(図表2参照)。

■63.2%が平常時でもオンライン診療に前向き
全回答者のうち、今後、体調不良で医療機関を受診する場合の体制として、「状況(緊急事態宣言下の外出自粛等)によって対面診療もしくはオンライン診療を選択したい」が39.7%、「状況に関わらず、軽い症状であればオンライン診療を選択したい」が23.5%と、合わせて63.2%がオンライン診療を選択肢として考えたいと回答しました(図表3-1、3-2参照)。

■かかりつけ医を持つ人は半数以下
体調が悪い時に気軽に相談できる“かかりつけ医”を持っている人は48.6%と半数以下で、特に25~34歳以下の若い世代では35.6%でした(図表4参照)。
厚生労働省や日本医師会では、かかりつけ医制度を推進していますが、かかりつけ医を持つ人の割合は2017年4月調査の55.9%から半数以下に低下したことが明らかになりました。(「第6回 日本の医療に関する意識調査」日本医師会総合政策研究機構)

その他の主な結果
■自身のPHR(健康情報や診療情報)を治療薬の開発など社会に役立てたいという人は9割以上
■健康管理・健康維持増進活動はコロナ感染拡大により減少

3.調査概要

  • アンケート名:「個人の健康管理や医療機関の受診に関する意識調査」
  • 目標回答者数:2,500名
  • 回答者数:2,578名(年齢:15歳以上(上限なし)、対象地域:全国)
  • 調査方法:全国Webアンケート(回答者はGMOリサーチモニターで募集)
  • 調査実施日:2020年4月30日
  • 調査内容:平常時の健康管理や医療機関の受診行動がコロナ禍によりどう変化したか、また、自身の健康医療情報の提供(利用)に関する意識の把握
  • 実施主体:MRI・MEDIS-DC共同調査

4.今後の予定

「かかりつけ医の普及」および「かかりつけ医機能の強化」については、これまで地域包括診療料施設基準の緩和や、診療報酬の引き上げ、紹介状なしで大病院を受診する場合等の定額負担の導入など、さまざまな対策を講じているものの、長年実現できずにいました。解決策の一つとしてオンライン診療が1997年に解禁されましたが、医師・患者ともに対面での診療が必要との根強い意識などから、普及には至りませんでした。
しかし、今回の調査において、コロナ感染拡大により、患者の意識や行動が変化しつつあることが明らかになりました。
MRIとMEDIS-DCでは、この兆しを踏まえ、withコロナ・ポストコロナ時代の新たな医療体制の在り方について、共同で研究し提案していきます。

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