1.背景・経緯
サブスクリプションは昨今、DX時代を牽引するビジネスモデルとして注目を集めています。モノからコト、所有から利用へと消費行動が大きく変容する中、商品購入後の利用状況に積極的に関わることで、継続的に顧客価値を創り出し、同時に収益機会の極大化を目指すモデルです。狭義には「課金モデル(定額、従量)」「ネット系新サービス(例.動画見放題)」などと解されますが、本質を理解すれば、業種や業態、商材、流通チャネルなどの特性に応じたサブスクリプション化が可能です。有効な変革手段として「使いこなす」方法論の確立が急がれています。
INCFでは、サブスクリプション型事業のプラットフォーム提供を手掛けるビープラッツ株式会社(INCF会員)を中心に、昨年11月に新規SIGを立ち上げ、同社が提唱する第3世代サブスクリプション(SMARTサブスクリプション)※3を活用するための理論と実践について検討を重ねてきました。参加企業(製造業を中心に全8社)によるケースワークをもとに、より具体的、実践的な検討を行いました。特に今回はBtoBビジネスにおけるサブスクリプション化の可能性に着目し、従来の商品を中心に据えたモノの流れの管理から、顧客を中心に据えた利用の流れを管理するモデルへの転換について課題と可能性を深く議論しました。
2.概要
製造業などのハードウェアを伴う事業では、サブスクリプションとして顧客との継続的なリレーションを構築・運用することと、ハードウェアの出荷・在庫管理を行うことを相互に連携させる必要があります。今回これをSSB-H(SMART Subscription Business with Hardware)と呼び、この事業企画に必要なフレームワーク、検討ステップと併せ21項目のチェックリスト(「SSB-H Checklist21」)を整理しました。また付録として、チェックリストに基づいた事業企画・開発について架空の企業を想定した利用事例をケースとして収録しました。
<ご参考>
ハードウェアを伴うSMARTサブスクリプション・ビジネス企画の為のチェックリスト
ハードウェアを伴うSMARTサブスクリプション・ビジネス企画の為のチェックリスト
「SSB-H Checklist21」の内容構成
1) SMARTサブスクリプションの概要2) SSB-H企画の9つの構成要素
3) SSB-H企画の検討ステップ
4) SSB-H Checklist21
付録:チェックリスト利用事例
本チェックリストは、オープンイノベーションの発想に基づき、事業変革を企図する企業を対象に広く公開します。各社が進めるイノベーション創出にご活用いただくことを期待しています。
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※1:未来共創イノベーションネットワーク(INCF):「革新的技術を活用し、 オープンイノベーションによって社会課題をビジネスで解決する」ことを目指し、2017年4月に発足したオープンイノベーション・ネットワーク(https://incf.mri.co.jp/)。三菱総合研究所が企画・運営し、183社・団体(2020年8月現在)が加入。
※2:SIG:Special Interest Group。INCF活動の一つ。同じ社会課題に関心を持つ産官学、大学とベンチャーの議論を通じ、事業アイデア実現の制約となる規制・制度の変更等や標準化、共通の技術開発についての調査・提言を行う活動。
※3:第3世代サブスクリプション(=SMARTサブスクリプション):Sequential(連続性)、Mutual(相互性)、Alterative(変質性)、Responsible(即応性)、Transformable(転用性)の5つの要素を備えたサブスクリプションのこと。詳しくは、宮崎,藤田,小澤,「SMARTサブスクリプション —第3世代サブスクリプションがBtoBに革命を起こす!」(東洋経済新報社)