ニュースリリース

スマートコミュニティインフラに関わる技術レポートがISOより発行

海外でのスマートコミュニティインフラ開発の円滑化
2016.9.28

三菱総合研究所

POINT

株式会社三菱総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:大森京太 以下、MRI)は経済産業省の委託事業「省エネルギー等国際標準開発」を実施していますが、その一環でとりまとめた海外でのスマートコミュニティインフラ開発を円滑にする技術レポートが8月1日に国際標準化機構(ISO※1)から発行されました。
交通や電力、上下水道などの都市インフラは、ICTなどの新技術による機能向上もあり、災害、渋滞、地球温暖化、テロといった現代の都市が抱える課題を効果的に解決し、人々に快適で安心な都市環境を提供することを可能にします。このようなインフラはスマートコミュニティインフラ※2と呼ばれています。
ISOでは、世界で導入が広がりつつあるスマートコミュニティインフラを機能させるために、その開発・運用・管理に関する国際規格の開発を進めており、8月1日に、ISOから技術レポート※3が発行されました。
本レポートは、スマートコミュニティインフラが計画どおりに機能するように、開発者らが守るべき基本的なポイントについて整理したものです。MRIは、本レポートをベースとした国際規格開発への参画を通じて、スマートコミュニティインフラの開発・導入・運用を促進し、激しい価格競争に陥ることのない海外インフラ市場の健全な発展に貢献することを目指しています。

背景・経緯

スマートコミュニティインフラは、従来のインフラよりも高いパフォーマンスを果たすことが必須ですが、そのために新たなリスクも想定され、リスクを考慮した開発・運用が重要です。例えば、廃棄物処理場はこれまで都市の排出物の「終点」でしたが、新たに熱や資源の「供給源」となることも想定されます。何らかの要因で廃棄物が減少した場合に、代替となる廃棄物の調達先や、結果として熱や資源の供給が停止してしまった場合の責任範囲などについて、事前に検討しておく必要があります。 しかし、このようなリスクに的確に対処するための共通の枠組みはなく、事業者に委ねられているのが現状です。

現状の検討、およびレポートの概要

このような背景のもと、ISOにおいてスマートコミュニティ分野を担当する専門委員会 ISO TC 268内に作業部会SC 1/WG 2※4が設置されました。MRIは、当作業部会の国際主査・幹事を担当しています。当作業部会では、今後、スマートコミュニティインフラが適切に機能することを担保するための「フレームワーク」(開発・運用・メンテナンスの手順など)に関する国際規格を複数開発していく予定です。
これまでは、国内外の開発銀行・機関(世界銀行など)、デベロッパー、インフラサプライヤー(メーカー等)と意見交換を行い、フレームワークの基本コンセプトを検討してきました。今回発行したレポートはその結果をまとめたもので、 (1)インフラの仕様はトップダウンで割り当て、開発後にその割り当て結果の妥当性を検証すること、(2)インフラ間やインフラとその周辺との相互の作用・影響を十分に把握し、設計等で考慮すること、(3)関係者間で適切に情報共有をすること、の3点が推奨されています。
本レポートは、スマートコミュニティインフラ開発に携わるすべての事業者(投資家を含む)が参照できるガイドラインとなり、プロジェクトの円滑な完遂を含めた、適切なビジネス環境の構築に資するものとなります。さらに、今後同作業部会で開発する国際規格のベースとして位置づけられます。

今後の予定・展望

今後は、事業者が実際のインフラ開発・運用・管理に際して参照することのできる、より具体的なガイドラインを国際規格として開発していきます。ガイドラインの内容は、インフラ開発に当たり事前に収集すべき情報から、設計・建設・試験の中で踏むべきプロセスや実施すべき分析、作成すべき文書など、多岐に渡ります。
規格開発に当たっては、本レポートをベースとしつつ、国内外事業者とのさらなる意見交換や、事業者が過去に携わったインフラ開発案件を題材とした事例研究を通じて、事業者が活用しやすいガイドラインの作成に努めます。また、今後新たに開発されるスマートコミュニティインフラ案件との連携も模索し、開発中の国際規格を試験的に適用するプロジェクトの立ち上げを目指します。

※1:International Organization for Standardization

※2:スマートインフラ、スマートシティインフラとも言うが、ここでは総称してスマートコミュニティインフラと表示。

※3:日本文タイトルはISO/TR 37152:2016 「スマートコミュニティインフラ -開発・運用のための共通フレームワーク」、英文タイトルはISO/TR 37152:2016 「Smart community infrastructure -Common framework for development and operation」

※4:TC(Technical committee)は専門委員会、SC(Sub-committee)は技術分科会、WG(Working group)は作業部会を指します。SC 1/WG 2(作業部会名は「スマートコミュニティインフラのインテグレーション・インタラクションのためのフレームワーク」)は、ISOにおける国際投票を通じて可決され、2014年7月に設置されました。

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