ニュースリリース

2018~2020年度の内外景気見通し

不透明感強まる世界経済、20年にかけて成長減速へ
2019.2.15

三菱総合研究所

株式会社三菱総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:森崎孝)は、2018年10-12月期GDP速報の発表を受け、2018~2020年度の内外景気見通しを発表いたしました。

日本の実質成長率予測値:
2018年度+0.6%、2019年度+0.7%、2020年度+0.5%
(前回予測値(12月10日):2018年度+0.8%、2019年度+0.7%)

海外経済

米国は、良好な雇用・所得環境が消費を下支えするとみられる一方、米中貿易摩擦の影響顕在化や既往の減税効果の剥落に加え、議会のねじれに伴う予算審議の難航も予想されることから、18年の3%近い高成長から減速し、19年は前年比+2.1%、20年は同+2.0%と予測する。

ユーロ圏は、消費を中心に内需の堅調が予想される一方、海外需要の減速による輸出・生産の伸び鈍化が見込まれる。加えて、英国のEU離脱(19年3月末に合意なし離脱を想定)による景気の下振れ圧力も強まるだろう。19年、20年ともに1%台前半の成長にとどまると予測する。

新興国は、米中経済の減速、半導体需要の調整など輸出環境の悪化を背景に、成長減速を見込む。中国は、米中貿易摩擦の影響による輸出減少や内需減速が重石となる一方、景気下支え策が一定の効果を示し、成長の急減速は回避される見込み。19年は前年比+6.2%、20年は同+6.0%と予測する。

日本経済

19年度の日本経済は、米中経済の減速や半導体需要の調整を背景に輸出は減少する一方、雇用・所得環境の改善持続や消費税増税前の駆け込み需要から内需の堅調が見込まれ、前年比+0.7%と潜在成長率並みの成長を予測する。20年度は、半導体の需要調整一巡により輸出・生産の持ち直しが見込まれるものの、年度後半にかけて増税対策の効果剥落が予想されることから内需の伸びが鈍化し、同+0.5%と減速を予測する。

世界経済のリスク要因

世界経済の先行きの不透明感は強い。20年にかけて緩やかな減速にとどまらず、成長が失速するリスクも高まっている。世界経済の下振れ要因として、注意を払うべきは次の3点である。
  1. 米中貿易協議決裂と対立の一段激化:米中貿易協議が決裂し、再び関税引上げの応酬がエスカレートすれば、世界GDPの4割を占める米中経済の同時失速リスクが高まる。決裂を回避した場合でも、世界の覇権を巡る争いが短期で収束する可能性は低い。投資や技術力、安全保障など、貿易以外の分野でも米中対立が深刻化する可能性があり、世界経済の不安定要因となる。
  2. 中国経済の信用収縮:米中貿易摩擦など輸出環境の悪化により経済の減速リスクが強まるなか、中国の社債のデフォルト率は急上昇している。政府は金融・財政面から景気下支え策を講じているが、政策運営の舵取りは難しい局面にある。過度な緩和は住宅バブルや不良債権拡大につながる一方、対策が不十分であれば信用収縮など経済の急失速を招きかねない。
  3. 複合要因による中堅/新興国の失速:アジアの中堅/新興国は、中国経済減速や半導体需要調整の悪影響を受けやすい輸出構造にあるほか、金融市場でリスク回避姿勢が一段と強まれば資金流出圧力も高まる。米中に加えて中堅/新興国経済まで失速すれば、世界経済への影響大。

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