ニュースリリース

ポスト2020のレガシー創出に向けた提言・地方自治体アンケート調査結果を公表

2019.3.27

三菱総合研究所

POINT

株式会社三菱総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:森崎孝)は、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会(以下「東京2020大会」)に向けた産官学協働の共創プラットフォームとして2014年4月にレガシー共創協議会を発足し、社会課題解決への機運醸成や事業・施策創出など、レガシーを創出するための活動を展開しています。本日、2020年以降のレガシー創出に向けた提言および地方自治体アンケート調査結果を公表しました。

1.ポスト2020のレガシー創出に向けた提言

レガシー共創協議会(以下「協議会」)では、昨年8月にポスト2020の課題と対応について検討することを目的としたワーキンググループ(ポスト2020WG。11社・団体が参加)を結成し、共創によるレガシー創出提言検討を進めてきました。

協議会として提言を公表するのは今回が4回目です。ラグビーワールドカップ2019(以下「2019ラグビーW杯」)、東京2020大会、ワールドマスターズゲームズ2021関西(以下「2021関西WMG」)の本番が近づいてくる中で、大会の事前・事後にできることも意識しながら、あらためて中長期的な視点としてレガシーを喚起すること、大会開催を社会課題解決につなげることを意図しています。

本提言の全体コンセプトは「全員が『参加』し、『挑戦』し、『応援』しあう社会」であり、2部構成となっています。Part1では、少子高齢化による人口減少が進む中、社会課題解決に向けたレガシー創出の必要性にあらためて触れるとともに、レガシーをどのように創出するかという観点が新たな切り口となっています。また、過去の意識調査結果を踏まえ、期待度が高い一方で進捗度が低い四つの課題分野(スポーツ施設、経済成長(スポーツビジネス)、健康・アクティブ、地域活性化)を抽出し、深く検討しています。Part2では、レガシーの多様性を踏まえ、スポーツ施設、スポーツビジネス、健康・アクティブ、地域活性化の各分野を専門とする有識者およびWGメンバーからのメッセージを掲載しています。

提言の全体および各分野に関するポイントは以下の通りです。

全体

  • オリンピックにおける「参加」の受容を拡大すべき
  • 2019~2021年(ゴールデン・スポーツイヤーズ)を最大限に活用しつつ、その後の社会目標に向けて取り組み効果を持続的に拡大すべき

スポーツ施設

  • スポーツ施設は、利用目的・位置づけを明確化した上で整備すべき
  • ネガティブ回避として、施設の総合的な需要喚起を推進すべき
  • ポジティブ推進として、交流空間創造や観客等の育成も意識すべき

スポーツビジネス

  • 多様な観戦ニーズやインバウンド、eスポーツ等の需要を取り込み、大会後のビジネスや地域活性化・社会課題解決につなげるべき
  • コアとしてのスポーツの価値を守り活かすために多様な人材活用や透明性のある組織ガバナンスを通じて、自立的な団体運営を図るべき

健康・アクティブ

  • 超高齢化社会も見据え、全員参加型スポーツコンテンツの創造・普及とコミュニティの形成を進めるべき
  • 個人のWell-being実現の観点からの働きかけ、イベント時のデータ取得と事後活用、地域内連携や人材育成等を継続的に実施すべき

地域活性化

  • 単に事前合宿等のイベント実施にとどまらず、地域課題の観点から取り組みの目的を定め、2020等を解決の能動的な機会とすべき
  • 参加型社会の礎を築くために、中長期的観点から住民等との新たな関係づくりを進め、その後の自立的なアクションの応援を進めるべき

2.ゴールデン・スポーツイヤーズのレガシーに関する地方自治体アンケート調査結果

上記提言検討の一環として、2019ラグビーW杯、東京2020大会、2021関西WMGの競技開催都市、ホストタウン登録自治体などを対象に、機運醸成や事前合宿などに向けた地方自治体の取り組み状況や課題(ソフト面、ハード面)を探るため、2018年11月~2019年1月にかけてアンケート調査を実施しました(対象407団体、回答数176、回収率43.2%)。

3大会に関して地方自治体の取り組み状況などを包括的に整理した調査として貴重な位置づけとなります。
主な調査結果概要は以下の通りです。

①ゴールデン・スポーツイヤーズを契機として、地方自治体が実現したいレガシー

  • 「スポーツ・芸術文化」「観光・交流」「健康・アクティブ」が上位。

②ゴールデン・スポーツイヤーズを契機に、地方自治体が新たに行っている取り組みの内容と、それを継続するための工夫、また、実施する上での障害について。取り組みを行っていない地方自治体はその理由について。

  • 回答のあった176自治体のうち、新規性・継続性・公共性のある取り組みを実施している自治体は116(65.9%)、取り組みをしていない自治体は57(32.4%)であった。
  • 取り組み好事例としては、住民の積極的な参加や合宿受け入れ国との交流活動、地域振興や国際化、新たな大会の創出・活動の継続化、パラリンピック関連の継続的な交流などが挙げられる。
  • 取り組み継続のための工夫については、事業の見直しや予算・人のシフト、関連組織の連携など全庁横断的な推進、オリパラを目的とした基金づくりや、民間活用を通じた財源づくりなどとして挙げられている。
  • 取り組み実施上の障害としては、1)リソース確保、言語、ノウハウ不足といった自治体のリソースに起因するもの、2)意識づけ、体制づくりといった関係者のエンゲージメントに関するもの、3)オリンピックのルールに関するものなどが挙げられている。
  • 取り組みを実施していない自治体の理由としては、リソース不足、アイデアがない、新規性がないことなどが挙げられている。

③海外からの事前合宿を受け入れる施設の整備・運営の実態について

  • 129自治体がゴールデン・スポーツイヤーズに関連して、事前合宿の受け入れを行うと回答。受け入れ施設は、体育館が最も多く、次いで複合施設、グラウンド、陸上競技場が多い。
  • 事前合宿に向けて改修予定のある施設は36.4%、事前合宿後に改修の予定がある施設は13.2%。
  • 事前合宿後の用途としては、「市民の利用」が79.8%で最も多い。事前合宿後の利用の工夫としては、「スポーツ大会の誘致」が27.9%、「多目的利用」が22.5%と多い。
  • 今後の収支見通しを立てている施設は20.9%。

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