ニュースリリース

三菱総合研究所、審査AIサービスを提供開始

リテールローン審査業務の自動化を促進し審査業務DXを支援
2020.12.3

株式会社三菱総合研究所

POINT

株式会社三菱総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:森崎孝、以下 MRI)は、AIを用いてリテールローン審査業務の自動化を実現する「審査AIサービス」の提供を開始しました。本サービスは、金融機関がローンを審査する際に確認する情報を用いて人間の諾否判断を学習したAIにより審査の自動化を促進し、審査業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援します。

1. 背景と目的

経営環境や競合状況など金融機関を取り巻く環境が厳しくなる中、リテールローン商品の融資審査業務には「回答スピード」「効率性」「客観性」のさらなる向上を目指した業務のDXが求められています。また、コロナ禍後のニューノーマルに適応した業務のBCP(事業継続計画)の再構築が必要不可欠な状況にあります。
MRIはこれまでに複数の金融機関との実証研究を重ね、今般、リテールローン(有担保・無担保)の審査業務をAIで代替する「審査AIサービス」を実用化しました。

2. サービスの特徴

MRIが提供する「審査AIサービス」は、従来人間(審査官)が行っていた審査の諾否判定(融資可否の判断)を学習したAIモデルを、金融機関のローン審査システムに連携させることで、審査の自動化を促進し審査業務のDXを支援します。本サービスの特徴は以下のとおりです。

AIモデルの性能

高い判別精度を有するAIモデルの構築※1が可能で、申込案件の半数以上の自動承認が実現できます(AR値※2 90%以上、申込案件の半数について審査官判定結果との一致率99%以上)。

AIモデルの解釈性

諾否判定においてAIモデルが着目した審査項目と、それをどの程度考慮したかを数値で示すことができるため、AIモデルがどのような理由で判定を下したのかを、案件単位で人間が理解できる仕組みになっています。

システムへの実装

API技術※3を活用し、AIモデルの判定結果を既存のローン審査システムにリアルタイムで反映します。ローン審査システム側の開発はインターフェースや画面のみのため、現実的な時間とコストでAIモデルを導入することが可能です。
「審査AIサービス」によるAIモデルの判定結果を既存のローン審査システムにリアルタイムで反映可能。

業務への実装

審査業務の自動化を促進する上でボトルネックとなる、既存業務におけるルールやチェック項目について、AIモデルとの関係性を整理し、既存のルールやチェック項目の全面的な見直しを支援します。「審査AIサービス」の効用である審査業務の自動化率を最大化した上で業務に実装します。

3. 導入効果

AIによる審査は「早い」「休まない」「揺らぎがない」という特徴を持っており、「審査AIサービス」を導入することで、ローン審査業務のさらなる効率化、高度化を実現できます。

審査回答スピードの向上・24時間審査回答が可能に

人間が判断するまでもない案件をAIが24時間体制で即時自動承認できるようになり、同時に即時回答することで顧客の離脱率低下が見込まれます。また、常時受付可能であることから、Web申込等の集客チャネルの選択肢を持つことができ、営業推進が加速します。

付加価値業務へのリソース集中を実現

AIが審査業務を一部代行することで、人的リソースを相応に減らす効果が見込めます。そのため、コロナ禍後のニューノーマルに適応した業務のBCP再構築の自由度が向上します。また、人間が見るべき難しい案件に人的リソースを集中させてより高度な審査を実現し、承認すべき案件を適切に見極めることにより、承認率上昇やデフォルト率抑制の効果も見込めます。

審査基準の安定化

AIは過去の人間による審査結果を元に各金融機関のクレジットポリシーを再現します。審査官のノウハウを集約したAIを用いることで、安定した審査が実現できます。

4. 今後の展望

「審査AIサービス」によって審査業務の自動化を図ることで、審査回答スピードの向上や審査基準の安定化、また審査に係る人的リソースの削減やより付加価値の高い業務へのリソース集中が実現し、審査業務DXがさらに加速します。
今後、各金融機関へのサービス提供を通じて、AIモデルの性能向上やユーザビリティの向上など、本サービスの高度化を継続して図っていきます。

※1:現時点では各金融機関の過去データから個別に構築します。汎用的・標準的なAIモデルの提供は行っていません。

※2:AR値(Accuracy Ratio)とは、モデルを評価する指標で最小0%~最大100%の値をとります。

※3:API(Application Programming Interface)とは、異なるシステム間でデータ等を連携するためのインターフェースを定めた仕様です。

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