ニュースリリース

三菱総合研究所とTOWING、高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)」を用いたカーボンファーミングの圃場実証を開始

農業経営の収益向上と地球温暖化対策の可能性を追究
2024.3.21

株式会社三菱総合研究所
株式会社TOWING

POINT

株式会社三菱総合研究所(代表取締役社長:籔田健二、以下 MRI)と株式会社TOWING(代表取締役:西田宏平、以下 TOWING)は、3月1日から宮崎県においてTOWINGが有する高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)」を用いたカーボンファーミングの圃場実証を開始しました。高機能バイオ炭の散布により、農地の土壌の質を向上させ生産性を高めるとともに、土壌炭素貯留を行うことで温室効果ガスの排出削減を目指します。

1. 背景

日本の食料・農林水産業を取り巻く環境は大きく変化しており、特に近年の大規模な自然災害や地球温暖化、生産者の減少等に伴う生産基盤の脆弱化、地域コミュニティの衰退、新型コロナを契機とした生産や消費の変化などの課題に直面しています。

このような状況を受け、MRIでは食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立の実現に取り組んでいます。2020年からは、食農分野の重要課題への対策と新たな価値創造を目指し、独自の研究提言やこれを社会実装すべくスタートアップをはじめとした企業との連携、産官学協働の取り組みを実施してきました。また、TOWINGでは、温室効果ガス排出削減と、減化学肥料・有機転換を同時に実現する土壌改良資材である、高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)」を開発し、未利用バイオマスの宙炭へのアップサイクルや、農業への利用を通じた、温室効果ガスの削減と持続可能な食料生産システムの実現に取り組んでいます。

このたび、MRIとTOWINGはこれらの取り組みの一環として、持続可能な食料生産システムを実現するためにカーボンファーミングの圃場実証を開始しました。

※:カーボンファーミング(Carbon Farming)とは、大気中のCO2を土壌に取り込んで、農地の土壌の質を向上させ温室効果ガスの排出削減を目指す農法で、いわゆる環境再生型農業を指します。

2. 圃場実証の概要

本実証試験は、宮崎県の協力を得て、環境に配慮した持続可能な農業生産に積極的に取り組む農業生産法人2社(イシハラフーズ株式会社、有限会社新福青果)の圃場で実施します。TOWINGの高機能バイオ炭はこれまでに30都道府県で試験導入し、土耕栽培(露地、ハウス)を中心とした園芸作物を対象に、小松菜が収量40%増加、玉ねぎが収量30%増加、などの実績があります。

今回の実証試験では、宮崎県の主要作物であるサトイモを対象に実施します。

TOWINGの高機能バイオ炭を散布し、MRIで生産性、農作物の収量や品質など多面的な効果分析・評価を行います。また、高機能バイオ炭の散布による土壌炭素貯留効果は、TOWINGでカーボンクレジットを発行します。将来的には、カーボンクレジットの売却益は、高機能バイオ炭を使用した生産者に対して次回の製品購入価格からディスカウントして還元します。
  • 実証試験実施期間:2024年3月~11月
  • 農業生産法人各社での試験圃場面積:5a~10a程度
  • 対象作物:サトイモ
機械による高機能バイオ炭散布の様子
(イシハラフーズ圃場)
高機能バイオ炭散布直後の圃場の様子(新福青果圃場)
(※右側黒い箇所が散布エリア)

3. 今後の予定

本実証試験結果の概要は、本年11月末頃に公開予定です。

また、実証試験をふまえ、今後、宮崎県内における有機性廃棄物からバイオ炭を製造し農地利用することによる、農業経営の収益向上と地球温暖化対策に資する地域循環を目指し、事業を推進します。

お問い合わせ先

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〒100-8141 東京都千代田区永田町二丁目10番3号
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カーボンファーミング・プロジェクト事務局 岸、久保田、木附
E-mail:carbonfarming@ml.mri.co.jp
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E-mail:media@mri.co.jp
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〒464-8601 愛知県名古屋市千種区不老町1番
国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学インキュベーション施設
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