VCP経営

社会課題解決企業としてのバリューチェーン(価値創造プロセス)を重視した経営

概要

社会課題を起点とし、当社グループがもつ4 機能(研究・提言、分析・構想、設計・実証、社会実装)を社会課題(事業領域)単位で連接し、最終的に社会実装・課題解決を目指します。社会変革への貢献という観点で従来不十分であった研究・提言と社会実装を強化するとともに、分析・構想、設計・実証は「研究・提言、社会実装への展開」または「他者(お客様など)による社会実装への展開」を重視します。加えて、社会実装の経験を研究・提言、分析・構想、設計・実証にフィードバックし、バリューチェーンの質の向上を実現します。
社会課題解決企業としてのバリューチェーンの質の向上
重点的に取り組む社会課題5分野

取り組み・事業例

改革1 成長事業改革

成長事業として、ストック型事業、海外事業、DX事業を位置づけ、先行投資やパートナー連携によって新たな収益基盤の確立を目指します(DX事業は、グループでの連結経営に基づく競争力強化の核となる事業であるため、基本方針2の取り組みとして記載しています)。

取り組み|VCP経営における成長事業

ストック型事業の推進
社会課題解決に直結するサービスとしてストック型事業を積極的に展開します。既存のコンサルティング事業とは異なるビジネスモデルにより新たな収益基盤を確立します。「課題解決の鍵となる要素の探索力」と、「政策」「市場・技術」の2つを起点とする課題解決を強みとした展開を図り、先行投資・パートナー連携、戦略的事業マネジメントによる事業拡大を図ります。
持続可能なストック型事業の創造と事業スタイルの確立に向けて、組織機能や社内制度の整備、VCP全体戦略に則った事業創造・拡大のマネジメント強化などを行っていきます。事業化スキルや事業創造マインドの向上を図るため、社内人財の育成とキャリア採用の強化を行います。
また、社会課題解決の理念を共有する事業パートナーの育成(スタートアップ含む)、関係構築・深化を図ります。グループ各社やパートナー企業との協業によって、当社の強みを活かしたストック型事業推進体制を整えていきます。
海外事業の推進
「海外のあるべき未来社会実現・社会課題解決」を目指した事業を展開します。海外での IT 開発・エンジニア確保、成長する海外市場での事業拡大が主眼ではなく、当社は海外展開でも社会課題解決が基軸です。経済成長と社会課題解決の同時実現が必要な「アジア」「中東」を重点エリアと設定します。アジア・中東の両地域とも、日本の経験・知見を活かせる社会課題(例えば高齢化・社会福祉、環境・エネルギー問題、インフラ整備など)を抱えています。当社のノウハウを活かし、グローバルな社会課題解決に貢献しながら、中長期的に事業成長を目指します。
  • アジア:官民共創(国内・現地)による「社会課題解決型プラットフォーム」を構築・試行運用し、現地に根差した社会課題解決をVCPに即して実現
  • 中東:現地政府から深い信頼を獲得し、課題解決の伴走パートナーとしての地位を確立
拠点設立を通じて現地力を強化し、現地課題・ニーズに即した事業を実現していきます。
海外事業の推進のためにはグローバル人財の確保・育成が必要不可欠です。海外への育成派遣・出向を通じた育成と海外経験のある人財の採用、現地ネットワークを活用した現地採用などを積極的に行っていきます。

改革2 基盤事業改革

従来からの強みである「分析・構想」「 設計・実証」領域の取り組みは、リサーチ・コンサル事業、金融ソリューション事業です。これらの事業を基盤事業として位置づけ、その質的な向上と収益基盤維持を図ります。

取り組み1│ポストコロナを見据えたコンサルティング

コロナ禍によって、事業環境は一変しました。多くの企業がこれまでの事業戦略を見直さざるを得ない状況にあります。そのレベルは、当面の危機に対応する「守りの見直し」から、将来の構造変化を見通した「攻めの見直し」までさまざまです。当社は、コロナ禍をこれまで各社が踏み込めなかった構造改革の好機と捉え、シンクタンクならではの未来を見通す力をテコに、不透明さが増す中での経営・事業の方向性を検討支援しています。
 
例えば、最も大きな変化に見舞われた業界のひとつである鉄道事業者向けには、コロナ禍による生活者と企業経営者の意識変化を定量化し、注視すべきトレンドや未来シナリオ、取り組むべき施策を提言しています。具体的には、今後の働き方を含めた「生活者の価値観」と「社会構造」の変化を掛け合わせることで、4つの未来シナリオを案出しました。鉄道事業者はこれらのシナリオを起点に、各社のこだわりやらしさも反映しながら、ポストコロナを見据えた構造改革を具体的に推進していくことが可能になります。
ポストコロナを見据えたコンサルティングのイメージ

取り組み2│大阪・関西万博を契機とした社会実装コンサルティング

2025年に大阪・関西万博が開催されます。2020年12月には、万博のマスタープランが公表されました。当社は、万博の主催者である公益社団法人2025 年日本国際博覧会協会より調査業務を受託し、基本計画を策定しました。万博開催の意義は、「いのち輝く未来社会へ」「SDGs 達成・SDGs+beyondへの飛躍の機会」「Society5.0実現に向けた実証の機会」「日本の飛躍の契機に」の4つです。コロナ禍を乗り越えた未来においては、一人ひとりが社会課題解決の担い手(未来のつくり手)となります。この活動を支えるのは、新しい技術やサービスです。4つの意義には、万博を未来に向けた日本、ひいては世界の飛躍の契機にしたいという期待が込められています。

万博事業では、次の社会に根づくことが期待される先進的なサービスや仕組みの導入が計画されています。コンセプトは、People’s Living Lab(未来社会の実験場)。人とロボットの共生、電子入場券の導入やデータに基づく来場管理、MaaS、空飛ぶクルマなど、さまざまな新しいサービスが提供されます。

当社は、いのち輝く未来社会の実現に向けて、これら新たなサービスの万博での実現、さらには広く社会への実装に貢献していきます。
大阪・関西万博を契機とした社会実装コンサルティングのイメージ

改革3 シンクタンク事業改革

当社グループにおけるVCP経営の起点となる活動が「研究・提言」です。シンクタンク事業の改革を通じて社会変革をリードする独創的な研究・提言を行うとともに、ステークホルダーへの情報発信力を強化します。また、「シンクタンクDX」の取り組みによる新たな価値創出を実現し、シンクタンク業界における破壊的創造(ディスラプション)を自ら先駆けます。

研究·提言

社会変革をリードするシンクタンクとして、当社では、ポストコロナの国際情勢や経済潮流、新たな社会課題解決に資する先進技術動向研究を行い、短中長期視点で未来社会を描き、ポストコロナ社会実現に向けた提言を実施しています。

これらの提言は、政府の審議会や産業界の委員会などへの参画を通じて、具体的な政策・施策に反映するとともに、メディアと連携して発信することで、社会潮流の創出につなげています。

VCP経営のもと、重点5分野(ヘルスケア、人財、エネルギー、MaaS、情報通信)において、政策・経済×科学・技術の知見を融合し、当該分野の社会課題解決や、社会変革の先導事例の創出につなげていきます。これらの研究・提言は、VCP分野別の研究・提言チームが主導し、全社一体で進めています。

また、国内外の研究機関・大学、研究者との組織的な連携により、世界の先端研究の知見を取り入れて質の高い研究・提言を推進しています。
研究・提言の区分

シンクタンクDX

シンクタンクの本来業務であるリサーチ業務やコンサルティング業務の生産性向上、さらには新たな価値提供を目指し、当社自身のデジタル変革に取り組みます。

強化、開発したデジタルツールは、自社利用のみならず、お客様のデジタル変革にも活用していきます。将来的には、シンクタンク業界に革新的価値をもたらす事業創出につながることを目指します。
  • デジタルインフラ
    リモート会議や文書管理ツール、電子契約サービスなどを導入し、当社業務全般の電子化と効率化を積極的に進めていきます。
  • デジタルツール
    当社が培ってきた自然言語処理などの先端的なAI技術を活用し、Web上の情報収集や官公庁の委員会運営、各種のデータ分析やシミュレーションなどにおける研究員の作業を支援するデジタルツールを開発します。また、分析結果の可視化やコンサルティング成果のプロトタイピングなど、提供価値の強化につながるツールも整備します。