新常態の働き方

MRIが先駆ける「新常態の働き方改革」が生む、企業と人材の好循環とは

まず実践、そして気づき、さらなる改善

MRIは社会課題解決企業として、人材こそ競争力の源泉と位置づけています。そうした考え方のもとで、「新常態の働き方改革」と称して数々の先進的な取り組みを進めていますが、その内容や狙いはどのようなものでしょうか?

榎本 2021年4月、多種多彩な人材が活躍できる環境づくりとして、いわゆるジョブ型を意識した人事制度の改訂を行いました。また、この座談会の会場となっているコミュニケーションエリアの設置をはじめとするオフィス改革やリモートワークの環境整備、地方移住/ワーケーション制度、そして兼業制度など、現段階で考えられることは全部実現したと自負しています(笑)。現在、当社の出社率はだいたい50%を切っており、リモートワーク環境を活用しながら出社は月1~2回という社員もいます。

実際にやってみなければ、それらの取り組みがうまく回るかどうかわからないというのが正直なところでした。まずは試してみなければと考えて、新しい制度を導入してみて実践してみると、地方移住されている仲尾さんのようにプロジェクトの遂行も可能であり、改善の余地はあるものの、組織的なマネジメントもうまく回っていると感じました。
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なるほど。まず実践、そこから得られた知見で改善していくことが織り込み済みなわけですね。岩田さんは以前から海外案件に従事されていますが、現在はどちらで働いていらっしゃるのですか?

岩田 バングラデシュです。コロナ以前に比べると、新興・途上国でもリモートワークの環境整備が進んだように感じます。とはいえ、対面で話すことが大切ということに変わりはないため、1年半ほど前から現地での業務を再開したのです。

テクノロジーが発展したことも大きいでしょうが、海外にいても日本にいても、同じように業務が進められるのは大きいですね。

岩田 紙資料の作成や捺印付きの書類提出などは出社せずには進められない業務でした。それが、ペーパーレス化が進み、リモートワークを主体としたさまざまなインフラが整備されたことは大変ありがたく、今では東京の自宅でも海外でも同じような感覚で勤務することができています。

その上で、実際にその仕組みがうまくまわっているのは、事務やコーポレート業務、メール室といったバックオフィスの方々あってこそとも思います。仕組みができる前から今に至るまで、「今日は郵便物が届いています」といった連絡をこまめにいただくなど、皆さんが細やかに心を配ってくださっているおかげです。郵便物をスキャンしたり、郵便物の送付状・差出人シールを準備していただいたり、細かなフォローがあることで安心して海外勤務が務まるのだと思いますし、日々感謝しています。

業務の中には“リアル”の重要性が残っている部分もあると思いますが、多様な働き方が認められたことで「使い分け」ができるようになったのはいいですね。

岩田 インフラ整備が進んだとは言え、コロナ以前より思い通りに物事を進めることが難しくなっている側面があるのも事実。渡航できるときは、行ける人がそのときにできる精いっぱいのことをやるという考え方で、結果的に良いパフォーマンスに繋がればと期待しています。
写真:滞在中のバングラデシュからオンラインで参加
滞在中のバングラデシュからオンラインで参加

柔軟なコミュニケーションの場としてのオフィス環境

働く場所を選ばないという意味では、同時期にフリーアドレス制も導入されました。制度が変わったことで、皆さんはどんなことを感じられましたか?

仲尾 私は地方移住制度を活用しているのですが、たまに東京本社に出社するとオフィスがとてもきれいになっていることに驚きます。以前は資料やファイルを積み上げている人が多かったのですが……。フリーアドレス制が導入されたことで、過去の資料をデジタル化するなど、うまく整理できたのではないでしょうか。
榎本 併せてサテライトオフィス制度も設けましたが、使われたことはありますか? リモートワークを活用されている小林さん、いかがでしょう?
小林 オフィスの環境が良くなったこともあり、サテライトオフィスに行くなら普通にオフィスに行きたいという気持ちが強いですね。

確かにオフィス環境は柔軟な働き方ができるよう、大きく変わりましたよね。実は私自身はコミュニケーションエリアをまだ活用しきれていないという思いがあるのですが、皆さんはいかがですか?

榎本 以前のように、打ち合わせのたびに他の階に出る必要がなくなったので重宝しています。モニターもあるので、対面・オンラインの混ざったハイブリッドな打ち合わせもしやすいです。テレカンブースはセンシティブな話をする場としても人気ですね。
小林 今はハイブリッドで打ち合わせるのが当たり前なので、その環境整備が進んだのはうれしいです。以前の環境だったらうまく繋がらない……など10分ほどはロスが生じることも少なくありませんでした。オンライン-オフラインの差が小さくなったように感じます。
写真:MRI本社コミュニケーションエリアにて
MRI本社コミュニケーションエリアにて
仲尾 一つのテーブルを囲んで話すと堅いディスカッションになりがちですが、スペースの雰囲気も明るくて柔軟なコミュニケ-ションに役立ちそうですよね。議題によって場所を使い分けるのも良さそうです。
清水 以前はメンバーとざっくばらんに話したいと思ったら会議室などを使用していましたが、ちょっと緊張感が残っていたんですよね。このコミュニケーションエリアは、いろいろな家具があるだけでなく、レイアウトの自由度もかなり高いので、よりリラックスして議論できます。
写真:MRI本社コミュニケーション エリアにて
MRI本社コミュニケーション エリアにて

個々の志向やライフイベントに対応できる働き方は、相乗効果も生み出す

制度の話に戻りますが、当社では地方に移住して働きたいと考える社員を応援する仕組みも整備されました。

榎本 地方移住制度がスタートして1年たちましたが、制度を活用している社員の約半数は配偶者の転勤などに伴うもの、そして残りの半数は地方の豊かな住環境などを理由に移住したという社員です。

仲尾さんは北海道に移住されたんですよね。当社の社員でもすでに十数人が制度活用していますが、いかがですか?

仲尾 今は窓の外に馬が走り回っている毎日です(笑)。東京のマンション生活とは一変し、さまざまな面でワーク・ライフ・バランスが改善されたと実感しています。個人的には夫と同居できるようになったのが大きいですね。それまでは夫は北海道、私は東京で働く別居婚でしたので。制度を利用した当初は、とにかく会社側の受け入れ度合いが深いことに驚きました。

地方移住を決め、社内で報告した際も誰一人「大変そうだね」とは言わず、「それ、いいね!」という反応だったことにも救われました。いくら移住したくても、自分一人でできることではありませんから。社外とのコミュニケーションでも話題に出すことで良い反応をいただけることもあり、驚いています。社内外でポジティブに受け止めてもらえたことが、一番良かったと感じています。

逆に苦労されていることはありますか?

仲尾 大変なこととしては、やはり移動でしょうか。現在は月2回程度、東京本社に出社しています。制度として会社から補助があるので助かっていますが、お金と時間のやりくりはやはり必要です。

それから、仲尾さんはワ—ケーション制度も活用したことがあるのですよね?

仲尾 私がワーケーション制度を活用したのは、以前から気になっていた取り組みがあり、その現場を見てみたいと思ったからです。知人が千葉県東庄町で廃校をリノベーションしたシェアオフィスを作ったので、ワ—ケーション制度を活用してそこで働いてみたんです。仕事に集中できる環境が得られるだけでなく、地元の方との交流機会も生まれるなど、さまざまなメリットを感じました。
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ワーケーションはワーク・ライフ・バランスだけでなく、いつもとは違う気づきや貢献に繋がりますか?

仲尾 そうですね、一歩外に出てみるとまったく違う出会いも生まれましたし、人脈を構築する上でも役立ったと感じています。地域との交流を通じ、社会課題解決を目指す企業として現場の取り組みを直に見る重要性を実感しました。

他社からも「MRIさんは進んだことをやっているね」と言われることも少なくありませんよね。

リモートワークによる育児と仕事の両立

当社の「ポストコロナにおける働き方・オフィスに関する企業向け・従業員向けアンケート調査」によれば、コロナ後のリモートワークの実施は2割以下、さらに従業員の裁量で出社日を決められる会社は約半数という結果も出ています。また、「柔軟な働き方ができれば給与が下がっても良い」という人が意外と多いこともわかりました。日本でも働き方を重視する意識が増えているのは、当社が優秀な人材を確保する上でも良いことだと思います。小林さんも、育児と仕事の両立に向けていろいろと工夫されている最中ですよね。

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小林 私はリモートワーク中心で働いているのですが、そのメリットは非常に実感しています。とくに通勤時間の削減効果は本当に大きいですね。毎日出社していた頃は、毎朝保育園へ子どもを送って出社し、会社に着く頃にはヘトヘトでした。また、2人目の子どもが生まれる際、家族の体調不安などから時短勤務や休職なども考えていたのですが、その矢先にコロナ禍が発生してリモートワークが爆発的に普及したことで、通常勤務でも乗り越えることができ、非常に助かりました。

一方で、テレワークにはテレワークの難しさもあります。出社していれば「会社の壁」に守られている部分もありますが、テレワークは家庭と隣合わせで、1時間後何が起こるかわからないという状況に対応しなければいけません。スポット的に家庭対応がしやすい反面、その分の業務の穴をいかに埋めるかも考える必要があります。現状、リモートワークの活用は試行錯誤中ですが、常に色んなことを考えながら仕事するようになったことは、良かったと思います。

リモートワークによって、社員がバラバラの場所で働くようになりました。その分、どのメンバーもいろいろな状況があることを前提に考えるようになったかもしれませんね。

小林 私のまわりには、育児中の同僚が多いこともあり、例えば「保育園から呼び出しが来るかもしれない」という状況を皆で共有できるようになり、互いの理解も深まったと思います。なにかあったときも業務が滞りなく進むよう、状況の共有や業務の複線化・効率化が進みました。

小林さんの担当される経理業務は、コロナ前はオンライン化するのが難しいとも言われていましたよね。

小林 最初の緊急事態宣言がでた時は3月末決算のタイミングでしたが、当時最小限の出社で決算を乗り越えるために、一気に決算作業を再構築しました。一方、経理はどうしても紙を扱うことが多く、当社でも一部の完全電子化ができない業務の担当者などは順番に出社する対応が続いています。リモートワークの普及を通して「できること」「できないこと」も明確になってきましたので、今後のシステムの更改などを経て「できないこと」を最小限にすることを目指しています。
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副業や育児が、本業に取り組む新たな視点をもたらす

MRIでは兼業制度、すなわち副業を認める動きも推進しています。これを活用していらっしゃるのが益子さんですが、なぜ利用しようと思われたのですか?

益子 2人目の育休取得中に、在職中とは全く異なる分野の学びを経験したいと考えたことがきっかけです。大学時代にアパレル関連のアルバイトを経験した際、「このお客さまに似合う色や服の形は何だろう?」と考えることが好きでした。そこで育休中にパーソナルカラー診断と骨格診断のアナリスト資格を取得しようと考えたんです。

そしてその資格を活用して、別のお仕事をされているわけですね。

益子 2人の子育て中なので、基本的にはMRIの業務と家事・育児がメインです。その中で月に1~2回ほど、週末の数時間を活用して診断・コンサルティングをしたり、依頼主のニーズに合わせたファッションアイテムのレコメンドをしています。雑誌を読んだりECサイト・SNSをチェックするなど、私にとって特別な負荷がない範囲で情報をストックしておくことで、最小限の時間コストで楽しく兼業活動できるようにしているのが工夫でしょうか。

兼業による変化や効果はありましたか?

益子 「お客さまの課題の本質的な部分は何だろう?」と仮説を立て、理解を深めた上で知識やソリューションを提供していく部分は非常に似ていると気づきました。聞いてどう打ち返すかという反応や傾聴の姿勢は本業にも活きていますし、雑談ベースで副業の知識で盛り上がることも多々あります。また、本業とは全く違うことをしているのに、ふと本業における課題のインスピレーションが得られることもあります。

兼業は「越境学習」の代表的手法として知られるようになりましたが、まさにそれを体感されているのかもしれませんね。副業によって本業に対しての意識も変化し、それが結果的に本業に還元されているケースも多いのではないでしょうか。

益子 同様の事例は子どもを産んだときにも気付きました。まったく異なる環境・行動をすることで、不思議なシナジーが生まれるのだなと実感しています。
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MRIが取り組む柔軟な働き方への施策と並行し、社員有志による「多様な働き方応援部」という知的倶楽部も立ち上がりました。この発起人の一人が仲尾さんでしたね。

知的倶楽部……MRI公認の、研究員による自主的な研究会。類似制度に「萌芽研究勉強会」という制度もあり、社内インフラを使った活動や予算が認められている。

仲尾 2021年10月に立ち上げ、現在13部署から37人のメンバーが参加しています。新しい働き方というと、会社側が推進するもので、社員はやってもらうという文脈で語られがちですが、個々人の希望やライフイベントに合わせて自ら働き方をデザインしようと思うことが大事ですし、それを応援するスタンスを作りたかったんです。会を立ち上げる前から、移住やワーケーションについて相談されることも多く、いずれも前例や情報がなければ実践しづらいだろうと思っていました。情報共有を図るためにも、まずは社内でコミュニティをつくり、メンバー間で応援し合える環境を作りたいと考えました。

面白い試みですね。「先駆け」を実践するだけでなく、これからトライしてみたい人も参加しているということですよね?

仲尾 はい、これからトライしようとしている人も多くいます。今年度の新入社員も7人が参加しており、若い世代の関心も高いようです。地元に帰って働きたいという想いを持っている人や色んな場所で働いてみたいという人、多様な志向性があるのが興味深いですし、だからこそ議論も活発です。これからはもっと参加者が増えるのではないでしょうか。
岩田 制度をどう活用するかの体験が共有されるだけでなく、「知的倶楽部」などの活動を通じてコミュニケーションが広がっていくことで、初めて人事施策が活きてくるのだなと思いました。
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新常態の働き方の探求

このように、MRIではさまざまな取り組みによって「新常態の働き方」を推進していますが、人事担当として今後の課題や発展について、どのようにお考えでしょうか?

榎本 より働きやすい環境を整えることでダイバーシティーを高めることにもつながると考えています。PDCAを回しながら継続的な向上を目指しています。社員の声を聴くことで制度の問題点を知り、軌道修正していくということですね。制度を作って運用していく中で、国内を取り巻く労働関連法や社会保険、税金の仕組みは、会社に出社することを前提に作られていることに気づきました。MRIが率先して新常態の働き方を進めることで、そこに発生する矛盾やハレーションについて世の中にも共有し、それらを踏まえた社会制度の変更の必要性や、さらなる実践についても提案できればよいと考えています。

新たな取り組みがマジョリティになったときのことを考え、課題や解決法を先駆けて提案し、国を動かしていけるのがMRIなのだと思いますし、その気概を持ってあらゆる議論を深めていきたいですね。

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PROFILEプロフィール

インタビューアー

  • キャリア・イノベーション本部 政策・戦略グループ グループリーダー
    人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる「人的資本経営」の実現を、組織・人材領域における経営コンサルティングの経験を活かして、政策起点、ビジネス起点の両面からご支援します。

インタビューイー

  • 小林 彩
    小林 彩
    経理財務部
    連結決算・開示、業績管理業務などに携わる一方で、社内の業務プロセス改革や基幹システム更改プロジェクトに参画し、新常態における業務のリモート・ギャップゼロ化を推進しています。
  • 益子 直子
    益子 直子
    金融DX本部 金融DXコンサルティンググループ
    主に金融業界のデータコンサルティング業務に従事し、ビックデータ活用によるマーケティング高度化支援や、市場・顧客調査の経験多数。
    現在2児の育児中、副業としてパーソナルカラー・骨格診断アドバイザーとして活動。
  • 海外事業本部 アジア事業グループ
    アジアや中東を中心に、新興途上国政府のエネルギー・気候変動分野の政策立案・運用・能力開発を現地に根差した形でご支援します。また、新興途上国市場に進出される企業の皆さまに伴走しご支援します。
  • ヘルスケア&ウェルネス本部 ヘルスケアイノベーショングループ
    がんや感染症を中心とした医療分野において、官公庁の調査研究・事業管理を幅広くご支援しています。
    現在、北海道浦河町への地方移住や、自身の専門性とは異なる分野での副業など、多様な働き方を実践中です。
  • 榎本 亮
    榎本 亮
    人事部長
    企業・経営統合、コストマネジメント・BPR(業務改善)、金融機関向けの法制度対応等のコンサルティングの実績多数。2020年10月から人事部長として新たな人事制度の導入、新常態に対応した働き方改革に取り組んでいます。

Our Efforts

「新常態の働き方」のコンセプト

MRIは多様な人材による多様な働き方を支援する各種施策を通じて、社会に先駆けて変革を共創する『わくわくする仕事』を増やし、柔軟性や効率性に富んだ『かしこい働き方』の実践を進めています。

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