せきを切ったようにAI業界がロボット開発に参入する一方で、長年の技術蓄積があるロボット業界も、AI技術を取り込む形でAI・ロボティクス開発を加速化している。
ロボット自体の歴史は古く、1920年には「ロボット」という言葉が初めて登場する。1960年代に産業ロボットが登場して以降は、日米欧でロボット研究が盛んになり、「ロボティクス」という学問分野が確立。主な技術要素である知能・制御系、駆動系、センサー系それぞれの分野で着実に技術進歩を重ねてきた。とはいえ近年はやや成熟し、技術進歩も漸進的となっていたロボット研究であるが、現在はAI技術の爆発的な技術進歩を吸収することで、その研究開発が大きく加速している。
生成AIの成功体験もあり、AI業界はより汎用的なAI・ロボティクスを志向する傾向がある。これに対しロボット業界は、AIの基盤モデルを活用しつつも、特定のタスク(業務)や業界に特化したハードウエア・アプリケーションを志向する傾向があり、両者のアプローチには違いが見られる(図表1)。これら異なるアプローチからの開発競争が、より魅力的なAI・ロボティクスの実用化を後押ししている。
図表1 AI業界とロボット業界の典型的なアプローチ
三菱総合研究所作成