コロナ禍での経験は、これまでの世界の大きな潮流を変化させた。その変化には、①既に表れていた潮流の加速、②新たな潮流の出現、③価値の再認識、の3通りがある。これらの視点から、ポストコロナの社会を方向づける3つの潮流を抽出した。
第一に、持続可能性の優先順位の上昇である。近年のSDGs(持続可能な開発目標)への関心の高まりに象徴されるように、これは既に表れていた潮流の加速である。第二に、集中から分散・多極に向かう潮流である。パンデミックを契機としたビジネスモデルや暮らし方の変革は、これまでの効率性を重視した集中から分散へと、新たな潮流を出現させたといえる。第三は、デジタルの加速とリアルとの融合だ。人々の価値観の変化と技術の社会実装に対する受容性の向上により、全世界でデジタル化が加速しよう。同時にリアルの価値が再評価されたこともある。デジタルとリアルとの使い分けや、リアルの魅力をより引き出すデジタルの活用といった両者の融合も進むであろう。