失われた30年を経て、日本経済はようやくデフレからの脱却が見通せるようになり、24年の春闘では実に33年ぶりという高い賃上げ水準が実現されました。賃上げを持続させ、経済を成長軌道に乗せるためには生産性の向上が不可欠であり、その実現には人材を成長分野に振り向けることが必要です。
こうした中、政府は8月末に「ジョブ型人事指針」を公表し、企業が個々の職務に応じて必要となるスキルを設定、従業員が自ら職務やリスキリングの内容を選択していくジョブ型人事(職務給)に移行するためのガイドラインを示しました。
一方、政府がうたう「内部労働市場と外部労働市場※のシームレスな接続」の実現には、内外労働市場が職務やスキルに関する共通言語を持つことが不可欠ですが、日本の労働市場にはこうした共通言語が整備されていません。
今回、MRIでは、人材流動化に必要となる情報を「職の共通言語」と定義し、その構築に向けた具体的な方策について提言します。
※内部労働市場とは企業内の労働市場(従業員の配置転換など)、外部労働市場とは企業と外部の間の労働市場(新卒・中途採用や転職など)を指す。