明治時代の『坂の上の雲』、戦後の「所得倍増」「列島改造」は、欧米列強や先進国へのキャッチアップが目標であり、多くの国民が共有できるビジョンであった。当社は、物質的な豊かさが実現し、価値観も多様化した21世紀に目指す社会モデルとして「プラチナ社会構想」を提唱している。
わが国は今、人口(少子高齢・人口減少・長寿命)、欲求(多様性・成熟・需要不足)、環境(資源争奪・CO2抑制)、財政(政府債務・国民負担)の四つの困難に直面している(図1)。これらの制約を克服し、人々の幸せや社会の持続を目指すビジョンがプラチナ社会構想だ。具体的には、まず「誰もが参画・活躍し、生活の質が高く、心豊かな人生を送れる社会(全員活躍社会)」である。そして、「持続可能な経済と制度を実現する社会(持続可能社会)」だ。経済成長はもはや目的ではないが、社会のさまざまな課題解決や制度持続の前提条件として重要である。また、少子高齢・人口減少・長寿命を前提にした持続可能な社会保障制度の再設計が急務だ。資源・エネルギー面での自立性を高め、CO2や廃棄物などの環境負荷を最小化する社会システムも必要である。さらに、実現したソリューションを海外に展開し、「世界の課題解決に貢献する社会(世界貢献社会)」を目指すものである。
当社は、2010年にプラチナ社会研究会を設立し、500以上の産学官の会員との共創を通じて構想実現に向けた取り組みを続けている。プラチナ社会を構成する個別のビジョンと課題を設定し、具体的な解決策を導出し、実証を重ねながら制度設計を進め、政策や事業などのかたちで社会への実装を目指すプロセスを進めている。政府の地方創生施策となった日本版CCRC※1は、このプロセスを通じた実現例の一つである。
7年経過した現在も、プラチナ社会構想の価値は色あせていない。むしろその必要性は増しているといえよう。世界ではグローバル化や技術革新の副産物である不満と不安が広がって排外主義が横行し、国内では課題山積に伴う閉塞感が20年以上続いて老若男女が希望をもちにくい時代となっている。「誰もが参画・活躍する持続可能な社会」が共通の目標として共有できれば、将来不安を抱える多様な人々の共感を得て、社会全体として前向きな動きを起こすことが可能だ。
すでにプラチナ社会とビジョンを同じくする取り組みや制度は多数生まれているが、それぞれ単発的で社会全体に効果が浸透しているとはいえない。構想を実現するには個別最適や一部を対象とする取り組みではなく、ビジョン全体最適で、多くの地域、企業、人々が参加可能な制度やシステムを社会実装することが今後の課題だ。
わが国は今、人口(少子高齢・人口減少・長寿命)、欲求(多様性・成熟・需要不足)、環境(資源争奪・CO2抑制)、財政(政府債務・国民負担)の四つの困難に直面している(図1)。これらの制約を克服し、人々の幸せや社会の持続を目指すビジョンがプラチナ社会構想だ。具体的には、まず「誰もが参画・活躍し、生活の質が高く、心豊かな人生を送れる社会(全員活躍社会)」である。そして、「持続可能な経済と制度を実現する社会(持続可能社会)」だ。経済成長はもはや目的ではないが、社会のさまざまな課題解決や制度持続の前提条件として重要である。また、少子高齢・人口減少・長寿命を前提にした持続可能な社会保障制度の再設計が急務だ。資源・エネルギー面での自立性を高め、CO2や廃棄物などの環境負荷を最小化する社会システムも必要である。さらに、実現したソリューションを海外に展開し、「世界の課題解決に貢献する社会(世界貢献社会)」を目指すものである。
当社は、2010年にプラチナ社会研究会を設立し、500以上の産学官の会員との共創を通じて構想実現に向けた取り組みを続けている。プラチナ社会を構成する個別のビジョンと課題を設定し、具体的な解決策を導出し、実証を重ねながら制度設計を進め、政策や事業などのかたちで社会への実装を目指すプロセスを進めている。政府の地方創生施策となった日本版CCRC※1は、このプロセスを通じた実現例の一つである。
7年経過した現在も、プラチナ社会構想の価値は色あせていない。むしろその必要性は増しているといえよう。世界ではグローバル化や技術革新の副産物である不満と不安が広がって排外主義が横行し、国内では課題山積に伴う閉塞感が20年以上続いて老若男女が希望をもちにくい時代となっている。「誰もが参画・活躍する持続可能な社会」が共通の目標として共有できれば、将来不安を抱える多様な人々の共感を得て、社会全体として前向きな動きを起こすことが可能だ。
すでにプラチナ社会とビジョンを同じくする取り組みや制度は多数生まれているが、それぞれ単発的で社会全体に効果が浸透しているとはいえない。構想を実現するには個別最適や一部を対象とする取り組みではなく、ビジョン全体最適で、多くの地域、企業、人々が参加可能な制度やシステムを社会実装することが今後の課題だ。