前回9月のトレンドレビュー(「日本的雇用慣行」の成立と定着)では、「年功処遇」、「長期雇用」、「企業特殊技能」などにより構成される「日本的雇用慣行」が高度成長期に定着し、普及した背景要因を整理した。高度成長期からバブル期に至るまでは、「日本的雇用慣行」は企業の競争力の源泉となったが、バブル崩壊から「失われた20年」を経て、経済・社会環境は大きく変化した。それに伴い、「日本的雇用慣行」が機能する前提は崩れ、その問題点である「労働市場の硬直化」、「キャリアパスの画一化」、「男女性別役割分担」、「正社員と非正社員の二極化」などの問題が顕在化してきた。だが「日本的雇用慣行」を構成する要素の相互補完性により、そこから他の雇用形態への転換は遅々として進まなかった※1。しかし、今後のさらなる「少子高齢化の進行」、「機械化の進展」、「新興国の成長」と言った環境変化のもとでは、新たな働き方を模索することが不可避である。