※1:2024年4月19日、第213回通常国会にて、同法改正案が衆議院を通過。5月29日に参議院を通過し、改正法が成立した。
※2:「日本学術会議農学委員会・食料科学委員会」主催の「食料自給率の動向と見通し -食料・農業・農村基本法の改正に向けて」(2024年2月23日)における小嶋大造准教授(東京大学大学院農学生命科学研究科)の報告講演より。
※3:食料自給率の考え方については、当社コラムに詳しい。
食料自給率低下の主因と食料安全保障の視点 食料自給率と安全保障 第1回(食と農のミライ 2023.1.12)
※4:ここで留意いただきたいのは、「現状20万ha・100万トンの小麦の国内生産を、40万ha・200万トンに増やす」ことに意味がない、ということを言っているわけではない、という点である。目標を「食料自給率を上げる」とした場合、その目標達成に向けて「20万ha国内小麦生産を増やそう」という施策をうっても、目標達成につながらない、ということを指摘している。次回コラムで詳述するが、「食料安全保障上、〇〇haの農地を維持する必要がある」という目標に対して、「その一部を20万haの小麦の増産で達成しよう」と考えるのであれば、十分、有効な目標足りえるだろう。
※5:現状コメの自給率はほぼ100%、麦の自給率は20%程度で、コメ麦合計の自給率はおおむね60%程度である。もし、小麦の輸入をすべて国産に転換して自給率をちょうど100%にできた場合と、どちらが食料安全保障上のリスクが高いだろうか。主食穀物自給率100%は、江戸時代とほぼ同じ状況だと言える。干ばつなどの気候変動への耐性から見て、むしろ全球的にリスク分散している前者の方が、食料不足になるリスクは低いと言えるのではないだろうか(これらのリスクについては、当社コラムを参照)。
輸入小麦があるから国内小麦も安く買える 食料安全保障と農業のキホンの「キ」(2)(食と農のミライ 2023.4.14)
※6:改正基本法において、「食料安全保障」を「良質な食料が合理的な価格で安定的に供給され、かつ、国民一人ひとりがこれを入手できる状態を言う」としている。単に有事において必要食料量が全体として調達できるかどうか、だけではなく、平時においても所得格差や食料アクセスの問題でこの状態が毀損されるリスクが高まっており、これらの問題に対処することも重要な課題である。これらの視点については改めて論じることとしたい。