そこで本コラムでは、当社が需要併設蓄電池に係る実証やビジネス検討を支援してきた知見を基に、市場環境の展望や事業検討のポイントについて紹介したい。
※1:両実証では需要併設蓄電池を中心に、需要施設に設置される多様な分散型エネルギーリソースを電力供給の安定化に向けて電力市場等で活用するための検証を実施した。定置用蓄電池以外のリソース設備としては、自家発電設備、EV(車載蓄電池)、空調設備の需要制御、エネファーム等が対象となった。
※2:短時間での電力需給のバランスをとる能力(調整力)を取引する市場。送配電事業者の指令に基づき、分単位や秒単位等の需給のアンバランスや変動の制御に貢献することで対価を得られる。応答速度等の要件に応じて、一次/二次①/二次②/三次①/三次②の5つのメニューに分かれている。電源を有する事業者は保有する電源の機能に応じて要件を満たすメニューへの参入が可能。
※3:「小規模リソース」とは、電圧区分で低圧と区分されるリソースを指す。
※4:経済産業省「次世代の分散型電力システムに関する検討会 中間とりまとめ」(資源エネルギー庁 2023年3月14日)に基づく。
https://www.meti.go.jp/
※5:例えば、経済産業省「経済産業省関係令和5年度補正予算の事業概要(PR資料)」(2023年11月29日)の「家庭用蓄電池等の分散型エネルギーリソース導入支援事業」にて100億円の予算が想定されている。
https://www.meti.go.jp/
※6:具体的な取引スキームは対象とする蓄電池の運用主体の立場等に応じて変わる。蓄電池の余力の放電量による取引は一般的に電力量を取引する「卸電力市場」で行うことが想定される。電力システムの需給逼迫時の対応は電力の供給能力を取引する「容量市場」を介した取引が想定される。
※7:蓄電池の最適運用パターンや運用収支見込みのシミュレーション、および、実運用における最適運用計画を提供するサービス。
MERSOL(https://mersol-web.jp/)
※8:電力量と調整力を同時に取引する市場。将来の日本での導入を視野に現在経済産業省や電力広域的運営推進機関での議論が行われている。