※1:デジタル関連収支の定義は松瀬他(2023)図表2の分類に基づく。日本の国際収支統計では、著作権など使用料や専門・経営コンサルティングサービスの詳細な内訳は不明であるため、厳密にはデジタル関連以外の項目も収支には含まれる。例えば、米国商務省の統計では、専門・経営コンサルティングサービスの詳細な内訳も取得可能であり、広告サービスの収支データを取得できる。また、本コラムで対象とするデジタル関連収支は「サービス」貿易の収支である。そのため、スマートフォンやパソコンなどのデジタル関連の「財」貿易の収支は含まれない。なお、デジタル関連の財・サービスの輸出入を試算したものとしては、総務省「令和5年版情報通信白書」などがある。
※2:Google(Alphabet)、Amazon、Facebook(Meta)、Apple、Microsoftの5社。
※3:国内のインターネット広告における海外企業の正確な市場シェアは不明だが、電通「日本の広告費2023」によると、国内のインターネット広告費は約3.3兆円と拡大が継続している。
※4:2023年第4四半期時点。Synergy Research Group社の調査による。
※5:なお、サービス障害発生時の問題は、海外事業者依存固有の問題ではなく、国内事業者に関しても同様である。海外クラウド事業者のサービスに限らず、国内通信事業者での通信障害は発生している。
※6:経済安全保障の観点からは、ガバメントクラウドなどの特定分野において、国産サービスの保有・育成は必要である。ただし、ビッグテックのサービスが普及した現状では、デジタル関連収支改善効果は小さいだろう。
※7:Siemens社プレスリリース “Siemens and Microsoft partner to drive cross-industry AI adoption“
https://press.siemens.com/
※8:陣屋グループJINYA CONNECT
https://www.jinya-connect.com/(閲覧日:2024年4月24日)
※9:例えば、EUのデジタル市場法(Digital Markets Act)では、ゲートキーバー企業(2024年3月7日の時点でGAFAMおよびByteDanceの6社)を指定し、ゲートキーパー企業が競争や消費者利益を阻害するような行動をとった場合、多額の罰金(全世界の年間売上高の最大10%、複数回の違反時は最大20%)を課す内容となっている。現在、欧州委員会は、Apple、Alphabet、Metaを対象に調査を開始している。日本においても、公正取引委員会を中心に、アプリストアやデジタル広告、モバイル、コネクテッドTVなどの市場に関する調査を実施しており、競争法上問題がある案件については対応が検討されている。