持続可能な社会の構築には環境や社会に対する負荷軽減が必要不可欠である。そのため、企業各社はサステナビリティ経営を推進してきた。しかし最近、一部の企業の取り組みだけでは実効性が低いことから、EUを中心としてサプライチェーン全体に脱炭素、サーキュラーエコノミー、デューデリジェンスの対応を要請する法規制が検討・施行されている(図表1)。
図表1 サプライチェーンにおける対応を要請する法規制事例
このような規制は、サプライチェーンに属するサプライヤーに関する環境・社会・ガバナンス(以下、ESG)データの収集を求めるとともにESG対応が不十分で改善の余地のあるサプライヤーに対してはその遵守を求める。業界全体のサステナビリティを底上げするため、欧米ではサステナビリティの取り組みに関して同様な志を持つ企業グループ(イニシアチブ)を中心とした活動が展開されている。特に、同一産業のイニシアチブ(以下、セクター・イニシアチブ)の多くは、①製品フットプリント関連指標・ルールの策定、②サプライヤー・マネジメント、③トレーサビリティの向上を目的に活動している(図表2)。
図表2 サステナブル・サプライチェーン構築におけるイニシアチブの活動目的