第1回コラムで、食料自給率の図表を使って、消費者1人当たり、何をどれぐらい食べているか、そのうち、国内生産できているものと輸入に頼っているもののバランスはどうかを確認した。今回はその結果も踏まえつつ、日本国内の消費・生産・輸入の総量がどうなっているのかを確認しよう。
よく知られているように、コメは消費量のほぼ全てが国内生産で賄われている。その量は年間約700万トン。一方で、小麦635万トン、大豆335万トン、トウモロコシ1,600万トンの合計2,570万トンの需要量のうち、そのほとんどの約2,430万トンが輸入である(ちなみに、トウモロコシの3分の2以上は飼料用)。
野菜の消費量は生鮮・冷凍をあわせて約1,500万トンあるが、うち20%程度が輸入となっている。鶏肉220万トンの年間消費量のうち76%は国内生産されており、鶏肉調製品50万トンとあわせて約100万トン程度が輸入である。牛肉は37%、豚肉は50%が国内生産である。
繰り返しになるが、大豆を含む穀物系の輸入は2,430万トン、野菜の輸入は300万トン、肉の輸入は250万トンであり、物量的にいえば、圧倒的に穀物系の輸入が多く、課題であることがわかる(金額的には、穀物系6,730億円、野菜5,340億円、肉類1兆1,870億円)。
すでに、コメの年間消費量のほぼすべてにあたる700万トンは国内自給していることを紹介したが、現在、国内で生産できている穀物は、小麦などを合わせて800万トンから950万トン程度である。過去、歴史を振り返ってみても、実は国内で穀物を最も生産できていた昭和30年代後半から40年代頃でも、国内の生産量は合計で1,600万トン程度だったといわれている。当時、農地は600万haと、今の1.5倍以上あった。つまり、現状の穀物需要の3,300万トンの大半を国内生産しようとしても、どだい無理な話なのである。足元で議論されている小麦やトウモロコシの多少の増産などは、全体ボリュームの対比でみれば、焼け石に水でしかない※1。