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金融危機後の米国金融政策

これまでのまとめと今後の注目点

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2015.12.17

政策・経済研究センター田中康就

森重彰浩

武田洋子

海外戦略

POINT

  • 金融危機後の米国では、FRBによる一連の金融政策のもとで緩和的な金融環境が継続
  • GDPや失業率の改善、インフレ率の下支えなど実体経済の回復を後押した可能性
  • 今後は、先行きの政策金利のパスやFRBの資産保有規模の動向に注目  

目次

(1)はじめに

 米国の非伝統的金融政策は効果があったのか?

(2)金融危機後の米国金融政策

 深刻な景気後退に対応し、事実上のゼロ金利下で非伝統的な金融政策を導入

(3)非伝統的な金融政策の効果の理論的な背景

 長期金利の引き下げとリスク資産への投資促進を通じて緩和的な金融環境へ
 借り入れコストの低下、資産価格の上昇、為替の減価を通じて実体経済の回復を促す

(4)非伝統的な金融政策が金融市場に与えた効果

 フォワードガイダンスにより将来の政策金利の予想値は低下
 金融緩和のアナウンス後に金融市場は反応し、金融環境は緩和的に
 QE3の長期国債の大規模な購入はストックの効果を通じ、長期国債利回りを一段と引き下げ

(5)非伝統的な金融政策と実体経済の動向

 実体経済は緩やかに回復、失業率も長期均衡水準まで改善

(6)米国金融政策に関する今後の分析課題

 金融システムの安定、新興国経済、米国内の経済格差などへ副作用の可能性
 労働市場の改善がインフレ率の2%の目標値につながるか?

(7)まとめ

 金融危機後の金融緩和は、実体経済の回復に一定の効果
 利上げ後の先行きのFF金利のフォワードガイダンスやFRBの資産保有規模の動向に注目