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内外経済見通し

2019、2020年度の内外景気見通し

世界経済は成長下振れ局面へ

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2019.11.15

株式会社三菱総合研究所

株式会社三菱総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:森崎孝)は、2019年7-9月期GDP速報の発表を受け、2019、2020年度の内外景気見通しを発表しました。

日本の実質成長率予測値:2019年度+0.7%、2020年度+0.5%
(前回予測値(9月9日):2019年度+0.8%、2020年度+0.5%)

海外経済

米国は、20年にかけて成長減速を見込む。中国との貿易摩擦の影響が顕在化してくるほか、世界経済減速に伴う輸出の減少が、雇用・所得環境の軟化要因となろう。金融政策は緩和的なスタンスを維持するも、内需を中心に成長は減速し、19年+2.2%、20年+1.8%と予測する。

ユーロ圏は、世界経済減速による輸出・生産の悪化、雇用・所得環境の改善ペース鈍化による消費減速を予想する。19年、20年ともに、前年比+1%台前半の低い成長にとどまると予測する。英国のEU離脱の行方は不透明であり、仮に合意なし離脱となれば成長率は一段と下振れる。

新興国は、20年にかけて低めの成長が続く見込み。金融・財政政策による景気下支え効果が期待されるものの、輸出環境の悪化が成長の下振れ要因となる。中国は、政府による追加的な景気下支え策が一定の効果を示すとみられるが、内需の減速や米中貿易摩擦の影響顕在化による成長減速は避けられない。19年は前年比+6.1%、20年は同+5.9%と予測する。

日本経済

19年度後半は、世界経済の減速を背景に輸出が減少するなか、消費税増税による反動減が予想され、一時的にマイナス成長に陥る見込み。20年度は、既往のアジア向け輸出下振れの反動などから輸出・生産が緩やかながらも持ち直す一方、年度後半にかけて増税対策効果の剥落から内需の伸びが緩やかに鈍化するとみられ、前年比+0.5%と潜在成長率を下回る伸びにとどまろう。

世界経済のリスク要因

世界経済の先行きは不透明感が強い。20年にかけて世界経済が景気後退に陥るリスク要因として、次の3点がある。
  1. 非関税分野での米中対立の深刻化:米中間の対立軸が、通商政策に加え投資や通貨政策の分野へと本格的に拡大すれば、米中間の分断がさらに深刻化し、金融市場やサプライチェーンを通じて世界経済の下振れ要因となる。米国は、中国企業による対米投資や米国株式市場上場への規制、関税影響を相殺する人民元安へのけん制などを強める可能性がある。対する中国も、米国企業を自国市場から締め出す動きを強めることが懸念される。
  2. 低金利下で高まる金融リスク:低金利による運用難のなか、高利回りを求めて信用力の低い企業向けの貸し出しが拡大している。これらの債権は証券化され、日本も含めて世界の金融機関や投資家が保有している。世界経済の減速圧力が一段と強まり、市場の想定を超える確率と規模でデフォルトが発生すれば、金融市場が不安定化し、景気悪化を加速させる要因となる。
  3. 中国の債務リスク:中国は米国との通商対立に加え、国内の信用収縮に伴う成長の急減速リスクを抱える。中国の企業・家計債務は既に高水準にあり、社債のデフォルト額も増加している。中国政府が経済政策運営を誤り、信用収縮を招けば、中国経済に急ブレーキがかかりかねない。

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