2022年2月のウクライナ侵攻は、世界的なエネルギー価格の高騰に拍車をかけるとともに、エネルギー安全保障の問題を改めて世界に突きつけることになった。欧州各国では石炭・天然ガスの備蓄や、調達先の多様化も含めた対策に乗り出しているが、これは化石燃料への単純な回帰を意味している訳ではない。欧州全体では域内エネルギー自給率を高めるため再生可能エネルギー・省エネルギー(再エネ・省エネ)の普及を加速させており、中長期的な脱炭素化の流れはむしろ強固になってきている。
世界ではカーボンニュートラル(CN)を宣言する国・地域が130カ国を超え、実際のビジネスルールへの落とし込みが進んでいる。CNは社会全体に大きな構造変化をもたらすドライバーであり、日本においてもその影響を矮小(わいしょう)化することなく捉える必要がある。