そのカギは、脱炭素社会への移行度を測る指標「炭素生産性」にある。しかしこの指標では、日本は先進国で見劣りする。かつて“省エネ先進国”であった日本。脱炭素化と持続可能な経済発展の両立を図るためのポイントはどこにあるのか、このコラムで解説する。
※1:日本銀行調査統計局「脱炭素社会への移行過程における我が国経済の課題:論点整理」(2022年)、BOJ Reports & Research Papers, April 2022
※2:Total Factor Productivityの略であり、技術の進歩や経営の効率化など、資本や労働の量的変化では説明できない部分の経済成長に対する寄与度を示す生産性指標である。
※3:PLANETech(2022)によれば、ベンチャー企業への投資は、持続可能なモビリティと輸送、スマート農業、クリーンエネルギーシステムなどの気候変動関連分野で2018年から2021年の3年間で52億ドルにも達している。その3年間における投資成長率は当該分野における世界の投資成長率の2.6倍にもなる。
※4:気候変動対策への投資促進などを通じて経済の立て直しを図る政策。
※5:求職者支援に産業転換の視点を(MRIトレンドレビュー 2021.8.3)
CEDEFOP (2022), Denmark: green transition in vocational education.
https://www.cedefop.europa.eu/
※6:例えばSohag, K., Chukavina, K., and Samargandi, N. (2021), Renewable energy and total factor productivity in OECD member countries, Journal of Cleaner Production, Vol. 296, 126499.はOECD加盟国における再エネがTFPに与える影響を分析し、人的資本と技術進歩がTFP上昇の鍵となることを示している。
※7:脱炭素化に向けては、業界や業種の枠を超えた複合的対策が求められることからもDXの推進は不可欠である。また再エネの大量導入には、デジタル化による低コスト化・省人化やデジタル人材の育成が不可欠である。
2050年カーボンニュートラルの社会・経済への影響(MRIエコノミックレビュー 2022.7.4)