ベトナムは日本企業・政府から今最も注目されている国の1つである。直近の調査では、日本企業が「有望だと思う国」としてベトナムは初めて第2位となり、これまでの最高位を更新した。しかしながら、ベトナム経済には構造的な課題があり、今のままでは持続的な高成長は見込みにくい。前編にあたる本稿では、ベトナムの成長性について産業構造の観点から考察する。そして、後編では、今後日本とベトナムが共に成長してくために、どのように関係構築を行うべきか提言を行う。
※1:貿易財洗練度指数は、貿易構造の分析で用いられるPRODY(輸出国の所得データを使って各輸出財の洗練度を表す指標)を用いた。PRODYは特定の貿易財Xについて、財Xの輸出国の所得水準を、当該国の輸出総額における財Xの輸出シェアで加重平均したもの。これは、所得が高い国が輸出している財ほど、「洗練された財(高度な財)」と見なすという考えに基づいている。
※2:「VNPAY」(オンライン決済)、「MoMo」(同)、「VNG」(ゲーム・アプリ開発)、「SkyMavis」(ゲーム開発)の4社。