米中が自由貿易から逆行する中、日本の対外政策や企業のグローバル戦略は大きな転機を迎えている。経済安全保障の観点からは、輸入リスクだけでなく輸出リスクにも警戒する必要がある。経済的威圧に備えて輸出競争力の強化や、グローバルサウスとの関係強化などが欠かせない。本コラムでは、日本が目指すべき対策とその有効性について検証する。
※1:トランプ前政権が課した鉄鋼・アルミ関税について、WTOの紛争処理小委員会は2022年12月にWTOルールに違反しているとして是正勧告を出したが、米国側が機能不全に陥っている上級委員会に控訴したことで、法的拘束力は失われた。
※2:トランプ前米大統領は2024年の大統領選で再選した場合、IPEFを破棄する方針を示している(2024年1月時点)。
※3:大麦については、2023年8月に関税撤廃が公表されたほか、ワインについても豪中首脳会談の結果、2023年10月にワインについては和解、WTO提訴がとり下げられた。リトアニアの事例では、中国との貿易停止によってレーザー業界は一時打撃を受けたが、台湾や米国、EUが投資拡大などの支援を行ったことが功を奏し、持ちこたえることができた。CSIS(戦略国際問題研究所)は、豪州およびリトアニアの2事例について、「中国は戦術的にも戦略的にも敗北した」と評価している。