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2020年2月号トピックス5経済・社会・研究開発

「消費税10%」は景気後退につながるか

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2020.2.1

政策・経済研究センター田中 康就

経済・社会・研究開発

POINT

  • 日本経済が景気後退入りするとの懸念が高まっている。
  • 経済の自律性を示す国内民間需要(除く在庫)の動向が一つの焦点。
  • 国内民間需要が持ちこたえ、日本経済は景気後退を回避すると予想。
2019年10月の消費税率引き上げが日本の景気後退につながるか否かに関心が高まっている。海外経済の減速や世界的な半導体関連需要の調整を背景に、各種の経済指標を合成した景気動向指数に基づく基調判断は8月から11月まで、「悪化」を続けてきた。一方で企業の景況感は、製造業が明確に悪化したものの、非製造業は高水準を保ってきた。内需も底堅く推移し、7-9月期のGDPはプラスを維持した※1

マクロ経済的に見て、景気後退の一つの目安は、GDPが2四半期連続で減少することである。消費増税直後の10-12月期のGDPは2月17日に1次速報が公表されるが、駆け込み需要への反動減や台風の影響からマイナスは避けられないと予想する。この流れが2020年1-3月期も続くかどうかが、景気動向のポイントになる。

だが、GDP全体だけで景気の先行きが読めるわけではない。1-3月期のGDP統計では在庫要因を除いた国内民間需要※2に着目すべきだ。この数字はGDPから在庫や外需、公的資本形成などを外したもので、経済の自律的な動向を見る上で最適である。実際に1997年(3%→5%)、2014年(5%→8%)の消費税率引き上げの際、GDP自体はいずれも、2四半期連続でマイナスにはならなかった。しかし、1997年の税率引き上げを受けて国内民間需要(除く在庫)は2四半期連続でマイナスを記録した。そしてその後の景気は、アジア通貨危機もあって、後退局面に入った(図)。

当社は2020年1-3月期のGDP、国内民間需要(除く在庫)ともマイナス回避を見込む。国内民間需要の柱は消費と設備投資だ。海外経済の減速が収益に及ぼす影響などから春闘での賃上げ率も鈍化しそうだが、消費を決定づける雇用・所得環境自体は、労働需給のひっ迫を背景に、さほど悪化しないと予想する。設備投資は製造業で過剰感が出てきたが、人手不足に悩む非製造業の省力化投資が下支え要因となろう。

標準シナリオでは日本経済は景気後退の瀬戸際で踏みとどまるとみる。しかし、海外経済を取り巻く不透明感は高い。米中対立や中国経済の行方、地政学リスク、金融市場の不安定化などには引き続き警戒が必要である。

※1:内閣府「四半期別GDP速報」(2019年7-9月期・2次速報値)による。

※2:国内民間需要(除く在庫)=民間最終消費支出+民間住宅投資+民間企業設備投資。

[図]国内民間需要(除く在庫)の推移と景気動向

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