マンスリーレビュー

2020年2月号トピックス4エネルギー・サステナビリティ・食農

開催「前」から参加したい大阪・関西万博

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2020.2.1

西日本営業本部 万博推進室芦田 高規

エネルギー・サステナビリティ・食農

POINT

  • 大阪・関西万博では、エネルギー・環境問題へもっとフォーカスしたい。
  • 開催地の夢洲は、社会課題解決に寄与する可能性がある。
  • 今から、新しい技術・サービスの実験へ、参画しよう。
1970年8月、大阪府吹田市・千里丘陵の万博会場に「原子の灯」がともった。「人類の進歩と調和」の祭典に、新時代のエネルギーが届けられた瞬間である。それから半世紀、再び大阪に万博がやってくる。2025年大阪・関西万博の会場は、大阪湾に浮かぶ人工島の夢洲(ゆめしま)。掲げたテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」だ。

今回の万博のコンセプトは、未来社会の実験場である。その点において夢洲は、将来のエネルギーミックスのあり方を考えるチャレンジングな場所だといえる。特徴は、海に囲まれた新しい埋め立て地であること。安心・安全な運営を前提に、施設の一部を従来のエネルギー系統から独立させることが可能だ。太陽光や風力をはじめとする発電設備や蓄電池を効率的に組み合わせることで100%再生可能エネルギーによる「地産地消」を検討してみてはどうか(図)。実現すれば、CO2排出量の削減や、地域レジリエンス※1の強化に貢献できる。

来場者の再生可能エネルギーへの関心を高めるための取り組みも提案したい。例えば、個人へスマホ用アプリを提供し、会場内の省エネへつながるような行動に対してポイントを付与する。自分の行動が、どれくらい環境やエネルギーに連動しているかを「見える化」することで、個人の行動変容を促すとともに、エネルギーマネジメントに対する意識を高めることも期待できる。

現在、2025年日本国際博覧会協会が運営するPeople's Living Lab促進会議※2では、万博で実現したい未来社会の技術・サービスの提案と実装に向けた議論が盛り上がっている。技術を埋もれたままにせず、皆が受け入れて実用化を進めるためには、規制緩和・資金制度の立ち上げなど実証を促す仕組みづくりも重要だ。

大阪・関西万博は、新規技術・サービスの社会実装の場が企業に提供されるまたとないチャンス。アイデアが万博で形になる、レガシーになる。この壮大な未来社会の実験へ、今から参加してみてはどうだろうか。

※1:さまざまな環境変化に対する適応能力、リスク対応能力のこと。

※2:多種多様な企業の参画や共創を図り、イノベーションを起こすことを目的とした会議。

[図]地産地消型エネルギーモデルの実装イメージ