高齢社会の深化に伴い医療・介護・健康増進といったヘルスケアの重要性が認識されて久しい。そうした中でコロナ禍における3密回避と利便性向上を目的に、「オンライン診療」に注目が集まったのは記憶に新しい。これにより、今まで進まなかった医療の「リモート化」※1が急速に普及するのではないかという期待が高まっている。
米国では日本に先駆けてリモート化が進展している。米国のオンライン診療サービス大手のTeladoc Healthは2002年創業の新興企業であるが、その後急拡大し、直近での会員数は約5,400万人にも及ぶ※2。2022年3月にはAmazonのスマートスピーカー「Alexa」と連携したサービスを開始した。リビングでスピーカーに「医師と話したい」と話しかけるだけで折り返し連絡が入りオンラインで受診できる。
Amazon自身も診断結果を踏まえて自宅に医薬品を届けるサービスを開始している。今や米国では、診療の最初から最後までを在宅で完結可能になりつつある。
一方の日本では、主に2つの要因から普及が進むと考えられる。1つは規制の緩和。今をさかのぼること4年、電話などを用いたオンライン診療が2018年に保険適用となった。しかし普及は限定的だったといえる。初診では利用できず、対象疾患も一部に制限されるなど、比較的厳しい制限が課されたからだ。その後コロナ禍において特例的に利用可能な範囲が拡大され、さらに2022年4月の診療報酬改定で初診での利用も可能になった。疾患による制限も大幅に緩和され、普及に向けた条件がここにきて整いつつある。
医療・介護分野の人材不足の問題がリモート化を促す可能性もある。医療現場については労働環境の改善を目的として、2024年にも医師の時間外労働に上限規制が適用される予定である。介護分野の人手不足も深刻な社会課題となっている。厚生労働省の発表によると、2025年度までに約32万人、2040年度には約69万人の介護職員が不足すると推計されている※3。
労働時間短縮が求められる中で生産性の向上は経営上の重要課題であり、有効な解決策の1つがリモート化である。例えば、在宅医療や在宅介護の需要増が見込まれた場合、医師や看護師、介護職員がリモートで医療・介護サービスを提供できれば業務の効率化を図れる。医療・介護分野の研究開発でもリモート化が進展する。詳細は特集3「『分散型臨床試験』によるイノベーションの加速」に譲るが、製品開発コストを抑制し、イノベーションを促進することが期待される。
米国では日本に先駆けてリモート化が進展している。米国のオンライン診療サービス大手のTeladoc Healthは2002年創業の新興企業であるが、その後急拡大し、直近での会員数は約5,400万人にも及ぶ※2。2022年3月にはAmazonのスマートスピーカー「Alexa」と連携したサービスを開始した。リビングでスピーカーに「医師と話したい」と話しかけるだけで折り返し連絡が入りオンラインで受診できる。
Amazon自身も診断結果を踏まえて自宅に医薬品を届けるサービスを開始している。今や米国では、診療の最初から最後までを在宅で完結可能になりつつある。
一方の日本では、主に2つの要因から普及が進むと考えられる。1つは規制の緩和。今をさかのぼること4年、電話などを用いたオンライン診療が2018年に保険適用となった。しかし普及は限定的だったといえる。初診では利用できず、対象疾患も一部に制限されるなど、比較的厳しい制限が課されたからだ。その後コロナ禍において特例的に利用可能な範囲が拡大され、さらに2022年4月の診療報酬改定で初診での利用も可能になった。疾患による制限も大幅に緩和され、普及に向けた条件がここにきて整いつつある。
医療・介護分野の人材不足の問題がリモート化を促す可能性もある。医療現場については労働環境の改善を目的として、2024年にも医師の時間外労働に上限規制が適用される予定である。介護分野の人手不足も深刻な社会課題となっている。厚生労働省の発表によると、2025年度までに約32万人、2040年度には約69万人の介護職員が不足すると推計されている※3。
労働時間短縮が求められる中で生産性の向上は経営上の重要課題であり、有効な解決策の1つがリモート化である。例えば、在宅医療や在宅介護の需要増が見込まれた場合、医師や看護師、介護職員がリモートで医療・介護サービスを提供できれば業務の効率化を図れる。医療・介護分野の研究開発でもリモート化が進展する。詳細は特集3「『分散型臨床試験』によるイノベーションの加速」に譲るが、製品開発コストを抑制し、イノベーションを促進することが期待される。