去る1月27~29日に東京ビッグサイトで、世界最大のナノテク展示会である国際ナノテクノロジー総合展・技術会議(nano tech 2016)、nano week 2016、第14回ナノテクノロジー総合シンポジウムJAPAN NANO2016が同時開催された。多様な分野の内外のナノ関係者が一堂に集まる年に一度の機会である。
「ナノ(n)」は10-9を指す単位であり、ナノメートル(nm)は1mmの百万分の一、1マイクロメートル(µm)の千分の一となる。原子の大きさが10-10m(0.1nm)くらい、分子が1~10nm程度、話題のPM2.5は2.5µm以下の粒子であるから2,500nm以下の粒子となる。細菌なども同じようなオーダーである。
一昔前にナノが話題となったのは、カーボンナノチューブ(CNT)やグラフェンなどのナノ単位の構造を持つ材料が発見、製造され、より集積度の大きな材料と比べて大きな導電性など、異なる性格を持つことが示された時であった。現在は、材料そのものに対する興味より、その多様な応用分野に対する関心が高まっている。電子回路とナノスケール、マイクロスケールの物理的機構を組み合わせたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems/微小電気機械システム)なども、有望な応用分野の一つである。
28日のnano tech 2016の会場セッションでは、内閣府の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の一テーマである、生体の触覚機能などを応用した超微量物質の迅速・多項目センシングシステム(InSECT)について、進捗報告が行われた。空気中や大気中の細菌などの微細な物質が、受容部から微細なチャネルを通して運ばれ、測定部の微細な穴(マイクロポア)を通過する際の電流量の変化から、どのような物質なのかが分析される。類似物質の判定の際には、電流量変化をAIに学習させることにより、物質間の差異の検知精度が向上する。例えば細菌検知のために構築されたセンサーのコア部分は2cm四方程度のサイズまで小型化され、実応用の際のシステム全体の大きさもかなりの小型化が図られるという。同プロジェクトの、数nm程度の大きさの有害低分子(爆薬、神経ガス、アルデヒドなど)の検知においては、対象物質と結合性の高いペプチド部分だけを合成し、センサーに組み込む技術も開発中である。
「産業応用へナノサイエンスとテクノロジーの新展開」セッションでは、東京大学野地博行教授のデジタルバイオ分析とその発展についての講演が興味深い内容であった。野地教授が開発したのは、生化学的反応を樹脂の微小な穴(チャンバー)の中で発生させ、発生する蛍光の数を輝点として光学的に直接カウントする仕組みであり、CMOSセンサーと直結することにより、大幅な小型化が図れるという。採択を受けたImPACTプログラムのプロジェクトの中で、DNAの合成と選択などから、人工細胞開発につなげていきたいとのことである。
展示では、リコーが開発中の、バイオ3Dプリンターが目を引いた。NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクトとして開発が進められているもので、生きている細胞を3Dプリンティングすることにより、将来的には再生臓器などの製造につなげようというものである。既に、射出後の細胞の生存まではクリアしているとのことであった。バイオ分野と工学の多面的な融合が始まっていることが実感された。
「ナノ(n)」は10-9を指す単位であり、ナノメートル(nm)は1mmの百万分の一、1マイクロメートル(µm)の千分の一となる。原子の大きさが10-10m(0.1nm)くらい、分子が1~10nm程度、話題のPM2.5は2.5µm以下の粒子であるから2,500nm以下の粒子となる。細菌なども同じようなオーダーである。
一昔前にナノが話題となったのは、カーボンナノチューブ(CNT)やグラフェンなどのナノ単位の構造を持つ材料が発見、製造され、より集積度の大きな材料と比べて大きな導電性など、異なる性格を持つことが示された時であった。現在は、材料そのものに対する興味より、その多様な応用分野に対する関心が高まっている。電子回路とナノスケール、マイクロスケールの物理的機構を組み合わせたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems/微小電気機械システム)なども、有望な応用分野の一つである。
28日のnano tech 2016の会場セッションでは、内閣府の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の一テーマである、生体の触覚機能などを応用した超微量物質の迅速・多項目センシングシステム(InSECT)について、進捗報告が行われた。空気中や大気中の細菌などの微細な物質が、受容部から微細なチャネルを通して運ばれ、測定部の微細な穴(マイクロポア)を通過する際の電流量の変化から、どのような物質なのかが分析される。類似物質の判定の際には、電流量変化をAIに学習させることにより、物質間の差異の検知精度が向上する。例えば細菌検知のために構築されたセンサーのコア部分は2cm四方程度のサイズまで小型化され、実応用の際のシステム全体の大きさもかなりの小型化が図られるという。同プロジェクトの、数nm程度の大きさの有害低分子(爆薬、神経ガス、アルデヒドなど)の検知においては、対象物質と結合性の高いペプチド部分だけを合成し、センサーに組み込む技術も開発中である。
「産業応用へナノサイエンスとテクノロジーの新展開」セッションでは、東京大学野地博行教授のデジタルバイオ分析とその発展についての講演が興味深い内容であった。野地教授が開発したのは、生化学的反応を樹脂の微小な穴(チャンバー)の中で発生させ、発生する蛍光の数を輝点として光学的に直接カウントする仕組みであり、CMOSセンサーと直結することにより、大幅な小型化が図れるという。採択を受けたImPACTプログラムのプロジェクトの中で、DNAの合成と選択などから、人工細胞開発につなげていきたいとのことである。
展示では、リコーが開発中の、バイオ3Dプリンターが目を引いた。NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクトとして開発が進められているもので、生きている細胞を3Dプリンティングすることにより、将来的には再生臓器などの製造につなげようというものである。既に、射出後の細胞の生存まではクリアしているとのことであった。バイオ分野と工学の多面的な融合が始まっていることが実感された。