※1:10a程度の小さい農地を、しかも分散して所有・耕作することは、今から考えれば非効率にしか見えない。しかしながら、1カ所で生産すること自体は効率的である反面、かんがいの不安定さや局所的な洪水の可能性などの面からみればリスクでもあった。農地解放の時点では、むしろ、あえて小さい農地を分散して所有させることが、リスク回避の意味で合理的であったといわれている。
※2:スマート農業など、農業の生産性向上が叫ばれて久しいが、日本の土地利用型農業の生産性の限界は、ほぼこの点に集約されてきているといっても過言ではない。1枚当たりの農地の狭さ、農地の所在地の分散である。この構造が解消されない限り、60kgあたりの卸売価格を1万円以下にすることは、ほぼ難しく、為替水準が大きく変動しない限り、カリフォルニア米などと直接価格競争をしていくことは、非常に困難であると言っていいだろう。
なお、農水省の生産費統計調査によれば、15~20ha農家の平均圃場枚数は71枚、30ha以上農家の平均は177枚である。単純計算で1枚あたりの面積はそれぞれ24a、35aとなる。しかしながら、登記上1枚あっても、実際には、あぜ道をなくして、2枚の水田を1枚として耕作することはよくあることである。現場調査の経験をふまえ、図2では、17ha農家の1枚当たりの面積を35a、63ha農家を50aとしてイメージ化した。
※3:サラリーマン所得が400万円程度あれば、所得赤字の11万円分はほぼ還付額で相殺されるだろう。いずれも、三菱総合研究所による概算。市町村や家族の状況などにより変わってくるため、あくまで参考値と考えられたい。
※4:60kg あたり1万9,000円は、農村でのヒアリングにより、農家—消費者の個人間取引では、実際に同2万円、同1万8,000円で取引されているケースが多いことを聞き取れたことにより、仮定的に設定した(5kgあたり約1,600円)。この仮定にあたっては、総務省(2023年4月)「小売物価統計」、東京都区部価格(コシヒカリは5kgあたり2,303円、コシヒカリ以外は同2,177円も参考とした。それぞれ、60kg換算で2万7,636円、2万6,124円)。
https://www.stat.go.jp/