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欧州連合(EU)域内におけるイノベーションのスピルオーバー

欧州経済の生産性を押し上げる潜在力と懸念材料

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2018.11.1

政策・経済研究センター田中康就

経済・社会・技術

POINT

  • EU統合はイノベーションのスピルオーバーを促し、欧州全体の生産性向上に寄与した可能性
  • スピルオーバーに関する懸念は、①金融危機の負の履歴効果と、②EUへの悲観的な見方の拡大
  • イノベーションのスピルオーバーに有利な環境を維持できるかどうかに注目  

目次

(1)はじめに

生産性が欧州経済の長期的な成長を左右 

(2)欧州経済の生産性向上に向けたイノベーションのスピルオーバーの潜在力

EU域内にはイノベーション力が高い国が多い
EU域内はイノベーションのスピルオーバーに有利な環境 

(3)イノベーションのスピルオーバーを阻害する懸念材料①:金融危機後の負の履歴効果

金融危機以降、企業の期待成長率が低下し、企業行動が慎重化
債務調整圧力が、企業・政府の行動の重石に
高失業率の長期化により、若年層の人的資本の蓄積に遅れ 

(4)イノベーションのスピルオーバーを阻害する懸念材料②:EUへの悲観的な見方の拡大

欧州経済の活性化につながってきたEU統合深化
EUに対して懐疑的な見方が増加、主要国が統合深化の妨げになる可能性も 

(5)まとめ

イノベーションのスピルオーバーに有利な環境を維持できるかに注目