政府がデフレ脱却の判断材料として例示した4指標は32年ぶりにプラスに転じる見通しだ。日本経済は“真のデフレ脱却”に向けいよいよ動き出す。賃金上昇に続く重要な関門は、サービス業における価格転嫁の浸透である。人手不足とインバウンド需要の拡大という国内サービス業をめぐる環境変化を受けて、サービス業の価格設定行動が変化し、それが市場で受け入れられるか、注目を集めている。
※1:内閣府「令和5年度 年次経済財政報告」第1章第2節、注28参照。
※2:日本銀行「全国信用金庫大会における挨拶(植田総裁)」。
※3:連合「2023年春闘 第7回(最終)回答集計(2023年7月3日集計・7月5日公表」による定昇込み賃上げ率は3.58%。
※4:厚生労働省「毎月勤労統計調査」の共通事業所ベース。2015年以前は本系列で比較。
※5:渡辺努(2022)『物価とは何か』講談社選書メチエ、P.243図表4-2によると、1カ月間で価格が更新される商品の割合は、モノ23%に対し、サービスは4%にとどまる。
※6:内閣府「企業行動に関するアンケート調査」の非製造業のデータを参照。ここには、電気・ガス業、不動産業なども含まれている。
※7:コロナ危機前の2019年時点で、インバウンド消費は4.6兆円。国内居住家計の消費300兆円に対し、1.5%に相当する。
※8:ただし、コロナ危機が発生した2020年は、非製造業の業界需要の期待成長率(今後3年間)と日本経済の期待成長率(同)がともに1.2%で同水準であった。
※9:内閣府・財務省・日本銀行「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について(共同声明)」。