リニアエコノミー(線形経済)から、サーキュラーエコノミー(循環経済)への移行は、資源制約への対応や、さまざまな環境問題の改善・解決策としてだけでなく、資源循環や再生可能資源利用により、できるだけ枯渇性資源を利用せずに持続・成長していく経済システムを目指すものである。
循環経済の根幹をなす資源循環を考える際、そのループの過程で、輸出や、退蔵、環境流出、品質低下などに伴う資源ロスが発生するため、不足する分のバージン資源(一次資源)を新たに投入する必要がある。また、2050年のカーボンニュートラル(CN)実現という制約が加わり、循環の各プロセスでCNにつながる取り組みが求められている。さらに、ウクライナ問題を契機に、経済安全保障の観点から、循環利用によって資源を確保することの重要性が高まっている。
このような制約条件、社会的要請がある中、どのような資源循環をめざすべきかは、資源を個別に分析しなければ見えてこない。当社では国内で活用する主要資源44品目 を対象に、基本属性と環境性、経済安全保障の観点から評価し、このうち国内需要が多く、内需比率も比較的高いプラスチックと、現時点の資源需要量は少ないが、外需比率が高く、自動車のEV化と連動して今後爆発的に需要が拡大する蓄電池資源(リチウム、ニッケル、コバルト)を対象に、資源循環未来像を研究し、わが国の循環経済への移行に向けた提言をとりまとめた。